ファッション

百貨店は「富裕層消費」のプラットフォームになれるか 伊勢丹外商海外出張の極意

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 富裕層ビジネスが好調で、多くの百貨店が外商を強化している。ここ数年、外商顧客の世代交代が課題だった。ところが、アベノミクスの影響などで若手の新興富裕層が増加している。三越伊勢丹では、ファッション感度が高くフットワークが軽い富裕層に向けて、コロナ禍以前に海外へのアテンドサービスをスタート。今年7月に海外でのアテンドを再開した伊勢丹新宿本店の吉村朋代・外商部 第二担当 ストアアテンダント 1 マネジャーに、海外出張の極意を聞いた。

 吉村さんが海外アテンドを始めたきっかけは、顧客との会話から。彼女は、「パリ・ファッション・ウイーク(PARIS FASHION WEEK)に行きたい」という顧客の要望に応えて現地入りし、ショーやイベント、展示会の参加手配からショッピングまでマネジメントしている。サービスを始めた初年度は7回、フランスやイタリアなどに渡航したというから、需要の高さは相当なものだ。近年はコロナ禍で渡航できなかったが、今年7月にはブランドのイベントに参加する顧客と共に、イタリアとモナコに出張した。

A案、B案、C案 スケジュール管理が肝

 海外アテンドは、飛行機・ホテルは顧客とは別途手配。現地でのスケジュール管理やアテンド、リクエスト対応などが吉村さんの主な業務だ。渡航期間は1週間程度。海外出張する際に、最も時間を費やすのが、スケジュール作成と調整だ。吉村さんは、「スケジュール変更が多く、こまめに対応します。現地での変更やリスクなどを考えてスケジュールを立てます」と話す。ショー会場に入れない可能性や、交通渋滞による遅れなど、現地のリスクは多い。「A案、B案、C案とスケジュールを立てて、スムーズに対応できるようにしています」。

 渡航中に顧客が着用するドレスなどの管理も仕事の一つだ。「渡航中のワードローブや持ち物リストを渡航前に作成します。その方が安全なので……」。現地では、ショーやイベント前に顧客が着用するドレスやシューズなどの確認をする。「ホテルがドレスのスチームなどはしますが、シワが残っていたり、合わせるシューズがなかったりしたら大変なので、事前の着用アイテムのチェックは必須です」と話す。

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