マーキュリーデザインは今秋、主力ブランド「バナーバレット(BANNER BARRETT)」のリブランディングを図る。メーンターゲット層は28歳から30代前半に上げ、デザインチームも一新した。商品はこれまでの軸だったベーシックテイストから、素材やデザイン力へのこだわりを強化し、1万2000〜2万円前半ほどだった中心価格帯も、9000円のカットソーや3万8000円のスカートなどを加え、MD構成の幅を広げた。リブランディング後初のシーズンになる2016-17年秋冬のテーマは、「ブリティッシュソール」。ブラウンやグレー、ベージュを軸にしたクロップドトップスやAラインのベアドレスに、グリーンのシフォンドレスや薄いブルーのデニムワンピースなどの挿し色を加えたラインアップを用意する。
廣瀬貴士・社長は、「ブランドスタートから14年経ち、マーケットも変わった。あらためて、『ブランドらしさとは?』と考えた時に、どうしても当時とは違うし、新しい『バナーバレット』を作らないといけないと思った。今はブランドのトレンド力が大事とされ、長年スタイリストやモデルに支持されてきたオリジナル力の強みが十分に発揮できなくなり、価格も下げてきた。またファッションビルなどが重視する効率化を考えた時に、好きなものを作って販売するだけではダメで、セレクトショップのオリジナル商品のようなベーシックで手頃なものや、デザイン力や素材のクオリティーにこだわった少し手を伸ばして買えるものなど、MDの幅に厚みを持たせることで、今後10〜20年後を見据えたモノ作りに切り替えた」と話す。
なお、廣瀬社長は昨年10月に、「バナーバレット」や「バルサラ」「アミウ」などの企画・製造・卸を行うマーキュリーデザインと、約20店舗の専門店事業を行うメイウッドの過半数株をパルに譲渡したが、今年1月にパルの総合的判断により、取引実行に至らなかったとして契約解消を発表している。「パルの子会社化は条件が大きく変わり、最終的に合意できなかった」と廣瀬社長。