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8月7日閉館の「渋谷パルコ」リニューアルのキーマンを直撃 「3年後にデジタルが融合した世界最先端の商業施設目指す」

 渋谷パルコが8月7日に閉館する。売上高こそ153億円(2016年3月期)と、パルコ全体の5.5%を占めるにすぎないものの、ファッションやカルチャーのインキュベーターを自任するパルコの象徴的な存在だった。43年の歴史に幕を閉じ、跡地にはパルコとオフィスが入居する20層の複合商業施設が2019年に再びオープンする。新生渋谷パルコは、どのような姿になるのか。パルコの全店舗を統括し、リニューアルのキーマンである泉水隆パルコ常務執行役を直撃した。

 泉水常務執行役は「これから話すことは全て僕の妄想」と前置きした上で、新生渋谷パルコの姿について「日本だけでなく、アジアの、いや世界最先端の商業施設にする。2019年という東京オリンピック前夜には、東京には今以上に世界中から観光客が訪れる。新生『渋谷パルコ』で、渋谷が世界有数のファッションタウンであることを示したい」と意気込みを語る。

 キーになるのは“デジタルと体験”だ。「従来の渋谷パルコがインキュベートしてきた、ファッションからアート、映画、演劇というカルチャーコンプレックス的な機能に、デジタルを掛け合わせる。例えばギャラリーや映画館もVR(バーチャルリアリティ)を導入することで、ずっと小さい面積で導入できるようになる。これまでのカルチャーコンプレックスに、デジタルを駆使した体感型のデバイスを導入することで、カルチャーとエンターテインメントが交差する新しい“エンタメコンプレックス”を作りたい」。

 パルコは14年の池袋の「ピーダッシュパルコ」リニューアルでインタラクティブな動画サイト「ニコニコ動画」の大型スタジオ「ニコニコ本社」を導入。「渋谷パルコ」でも15年3月にEC専業アパレルの夢展望のショールーミングストアをオープンするなど、売り場にデジタルを積極的に取り入れてきた。泉水常務執行役は、「3年後を正確に予想するのは難しいが、商業施設は完全に“モノを売る場”から、コトや体験を共有する場に変わるだろう」。こうした変化をさらに後押しするのが、ECとリアル店舗が融合したオムニ化だ。「すでにテナント側はバックヤードの物流革命により、売り場のショールミング化が可能になっている。デベロッパー側が追いついていないだけだ。パルコとしてはすでに答えは出ていて、少なくとも『渋谷パルコ』に関しては、家賃は固定制に変わるだろう」と語る。

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