プランタン銀座は31日、仏プランタン社との商号・商標契約の終了に伴い、2017年1月1日付で社名を「マロニエゲート」に変更し、現在運営する商業施設「プランタン銀座本館」を「マロニエゲート銀座2」に、「プランタン銀座アネックス」を「マロニエゲート銀座3」にそれぞれ改め、3月中旬にグランドオープンすると発表した。プランタン銀座の70%の株式を持つ読売新聞社は、隣接する商業施設「マロニエゲート」(07年開業)も運営(プロパティマネジメントは三菱地所)しており、3館体制による相乗効果を狙う。3館体制で初年度の売上高240億円を計画する。
31日に会見したプランタン銀座の笹岡寛・社長は「3館体制によって、マロニエゲートとしての発信力の強化、独自性のあるMDによる補完関係、売り場面積が拡張することによるスケールメリットという3つの相乗効果が見込める」と強調した。店舗面積はプランタン銀座本館が約1万4000平方メートル、同アネックスが約3000平方メートル、マロニエゲートが9000平方メートルで、3館合計で約2万6000平方メートルになる。アパレルでいえば、プランタン銀座がキャリア系の婦人服が充実しているのに対し、マロニエゲートはセレクトショップ系のテナントが多く、重複は少ない。これを機にプランタン銀座は、各ブランドとの取引条件を現在の消化仕入れを減らし、家賃による定期借家契約を増やす。「収益を安定的にすることで、チャレンジングな品ぞろえができるようにしたい」(笹岡社長)。
改装後、マロニエゲート銀座2・3は、長年親しまれてきた「銀座で働くOL」中心のMDを改め、「20歳代〜40歳代の働く女性とおしゃれママ」にターゲットを広げる。現在の本館2〜4階はほぼアパレルのみの品ぞろえだが、改装後は雑貨比率を5割に高める。食品フロアになっている本館地下2階は「美と健康」をテーマにしたフロアに刷新し、スポーツ用品やイートインで構成する。試着室やレストルーム、休憩所などの環境も整える。改装費用に30億円を投じる。
プランタン銀座の屋号での営業は12月31日まで。マロニエゲート銀座2は、年明け後、上層部の「ユニクロ」と「ニトリ」は営業を継続するが、地上5階から地下2階は改装工事に入る。10月1日から大みそかまで大々的な売り尽くしセールを実施する。
日本におけるプランタンは、1980年3月にダイエーが仏高級百貨店のプランタン社とロイヤリティ契約を結んだのが始まり。神戸や大阪、札幌など全国にこの屋号で出店したが、現在営業しているのは84年にオープンした東京のプランタン銀座だけになっていた。旧ダイエーの破たん後、銀座の土地・建物のオーナーである読売新聞社と三越(現三越伊勢丹ホールディングス)の傘下に入った。現在のプランタン銀座の出資比率は読売新聞社が70%、三越伊勢丹が30%。07年に有楽町マルイ、11年にルミネ有楽町など近隣に若い女性向けの商業施設が相次いで進出した影響もあり、06年2月期に250億円だった売上高は16年2月期には150億円に減っていた。この間、仏プランタン社は高級化路線を鮮明したため、大衆化路線をとる日本とは隔たりが生じ、契約を打ち切ることになった。