ファッション

アンソニー・ヴァカレロによる新生「サンローラン」がデビュー

 「サンローラン(SAINT LAURENT)」はパリコレ初日の9月27日、アンソニー・ヴァカレロ新クリエイティブ・ディレクターによるファーストコレクションを披露した。会場は、2018年に完成するイヴ・サンローラン本社予定地。まだリノベーション中の建物の中にランウエイと客席を用意した。それは、建物だけでなく、ヴァカレロが“今まさに新しい「サンローラン」を組み立てている”というメッセージのようにも感じられた。

 ヴァカレロは、4月にブランドを去ったエディ・スリマンが賛否両論を受けながらも築いてきた新たな「サンローラン」のイメージをある程度継承しながらも、そこに創業者であるイヴ・サンローランのエキセントリックさへのオマージュや自分らしさを加え、ブランドを次のステージへと推し進めようとしているようだ。もっともヴァカレロが好むロックテイストや黒は、エディが作り上げた「サンローラン」の世界観との親和性も高い。

 彼が「サンローラン」で思い描いたのは、1980年代のスタイルから受けた影響を自分のものにする現代の女性たち。今季は誇張された肩のデザインが特徴的なアーカイブのドレスを出発点に、コレクション制作に取り組んだ。ファーストルックは黒のレザーのミニドレス。袖はオフショルダーにレッグ・オブ・マトン・スリーブ(付け根はパフスリーブで、袖口に向かって細くなっていくデザインの袖)を付けたようなユニークなデザインで、胸元から腰にかけてはビスチエのように体にフィットする。レザー、パテント、ベルベットと素材を変えながらもこの2つのデザインがコレクションのカギになっている。ワンショルダーなどのアシンメトリーなドレスやトップスのバリエーションも豊富で、新生「サンローラン」にとってのアイコニックなデザインを探求しているようだ。また、ブランドのアイコンの一つである“スモーキングジャケット”のアレンジは、自身のブランドでもシャープなテーラリングを見せてきたヴァカレロの得意分野。クロップしたり、ジャンプスーツやドレスを仕立てたりとテーラードの再構築を楽しんでいる。

 足元は、ポインテッドトーのパンプスやサンダル、メンズライクなレースアップシューズなど。中には、ヒールを“YSL”のロゴ型に仕上げたものやフリルを飾ったものもある。一方、バッグは今回のランウエイでは一切披露されなかった。ラグジュアリー・ブランドビジネスの柱でもあるバッグをはじめとするレザーグッズでどのような提案を行うかにも注目したい。

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