オンワードホールディングスはEC事業を加速させる。2016年3~8月期のEC売上高は国内が前年同期比21.0%増の59億円、海外が同22.7%増の3億5100万円となり、計画値も上回った。保元道宣・社長は「通期では当初目標の計150億円を達成する見込み。下期以降は、売り上げ規模、伸び率ともに拡大を図る。現状は、リアル店舗向けに開発したブランドをECでも展開しているが、下期以降は(ECによる)新事業創出にも力を入れていく」と話す。
同社はこれまで自社ECサイトでの販売をメーンにしており、現在も自社EC比率は85%と高い。「これまでは計画的に外部への出店制限をしてきた。現在、百貨店系列、マガシーク、ゾゾタウンなど10サイトに出店しているが、自社EC用サイト用の倉庫に在庫を固めた上で、今後は他社ECモールとの乗り入れも進める」。現在130万人以上いるオンワードメンバーズ会員については、2018年度末までに300万人を目指す。「この会員情報を活用し、リアル店舗の集客アップにもつなげる」
同社の2016年3~8月期連結決算は、売上高が前年同期比4.8%減の1194億円、営業利益が同135.2%増の5億2900万円だった。中核会社であるオンワード樫山が主に百貨店流通で苦戦した。基幹ブランドの「23区」「ICB」やメンズのパーソナルオーダー事業などが堅調だったものの、「組曲」「ソニア・リキエル・コレクション」などが低迷した。馬場昭典オンワード樫山社長は「パーソナルオーダーなど、消費者が自分の好みを反映できるアイテムがメンズ、レディス問わず好評だった。『23区』や『ICB』は、季節に応じてそのときに必要なアイテムを提案できたことが大きかった。価格帯を幅広く取りそろえたことも勝因」と話す。今後は百貨店内での店舗の大型化を進める。「23区」は松坂屋名古屋店や松屋銀座、「自由区」は高島屋横浜店や阪急うめだ本店などに大型店舗を出した。メンズの「五大陸」は、9月に大丸東京店をオープン。また、「ジョゼフ」は来年4月に銀座松坂屋跡地の商業施設に出店予定だ。一方で、採算の取れないブランドや事業、店舗については積極的に見直しも進める。上期にはショッピングセンターで展開する「フィールド ドリーム」と高島屋との協業による「アエル」の2ブランドを廃止した。
17年2月期の通期業績は、売上高が前期比6.3%減の2470億円、営業利益が同5.9%増の40億円を予想している。