三陽商会は28日、来年2月までに「アレグリ(ALLEGRI)」「フランコ・プリンツィバァリー(FRANCO PRINZIVALLI)」「ポール・スチュアート スポーツ(PAUL STUART SPORT)」およびレギュラーサイズの「バンベール(VINVERT)」、Lサイズの「バンベール」の5ブランドを廃止すると発表した。ブランド名は公表していないが、来年8月までにさらに2ブランドを撤退する。先行して8月には「ビアンカ エポカ」、ウイメンズ部門の「プリングル1815」、Lサイズの「アマカ」を止めている。昨年6月に屋台骨だった英「バーバリー」のライセンス事業を失い、後継ブランドも軌道に乗らない中、既存事業の見直しを余儀なくされている。
業績不振が続く同社は2014年5月に発表した中期経営計画を7月に取り下げたのを機に、本格的なリストラに着手。不採算・低収益ブランドの廃止を打ち出すとともに、10月には希望退職者募集を実施し、249人が年末に同社を去ることになった。廃止ブランドを含めた不採算売り場を来年8月までに170店閉鎖する。資産効率化のために追加施策も実施する。保有株式の銘柄数を来年3月までに約半分に減らす。保養所、美術品、ゴルフ会員券などの遊休資産も売却する。東京・四谷の本社新別館ビルの建設は、来年2月まで一時凍結する。これら追加施策で約50億円の資金を確保する。
当初の予定では、修正した新経営計画を10月に発表するはずだったが、同社はこれを先延ばしにした。28日に行われた記者会見では「構造改革と新経営計画の目指す方向性」を示すにとどめられた。今後は12月に「構造改革の進捗状況」を発表し、来年2月に「新経営計画の公表」を行う予定。新経営計画の策定が遅れている理由について同社は「7月から若手・中堅社員も参加するワーキンググループや分科会で議論を重ねてきた。拙速よりも現場を巻き込んでオープンな議論を進めることを重視した」(岩田功・取締役常務執行役員経営統括本部長)と説明する。
三陽商会の16年12月期は営業損益が68億円の赤字の見通し。「バーバリー」の後継として昨年秋にスタートした「マッキントッシュ ロンドン」「ブルーレーベル・クレストブリッジ」「ブラックレーベル・クレストブリッジ」が当初計画未達に終わった。杉浦昌彦・社長は「『マッキントッシュ ロンドン」は予算に対して3分の2で終わったが、(スタート1年を過ぎた)10月以降はプラスで推移している。徐々に認知度は上がっている」と話す。