2017年は全国で46のショッピングセンター(SC)が新たに開業する。消費低迷と建設費の高騰によって新規開業は減速傾向にある。ECの発展によってリアルの店舗の存在意義が問われる中、デベロッパー各社は新しいコンセプトを打ち出すべく知恵を絞る。ここでは注目のSCを紹介する。
◆柏の葉T-SITE
所在地:千葉県柏市
開業時期:春
開発・運営:カルチュア・コンビニエンス・クラブ、三井不動産
敷地面積:1万2000平方メートル
代官山、湘南、枚方に続く4番目のT-SITE。つくばエクスプレスの沿線にある柏の葉は、自然豊かな環境の中に東京大学、千葉大学、ららぽーとやマンションなどを集めたスマートシティ開発が進んでいる。T-SITEは大きな池のほとりに建設され、蔦屋書店のほか、カフェ、レストラン、ショップなどが入る。来街者、地域住民、大学関係者などのコミュニティ拠点を目指す。
◆マロニエゲート銀座2・3
所在地:東京都中央区
開業時期:3月15日
開発・運営:読売新聞東京本社
店舗面積:計1万7000平方メートル
店舗数:計122
12月31日に32年間の歴史に幕を閉じたプランタン銀座の本館とアネックス館が、大規模な改装を経て、新たな名前でオープンする。プランタン銀座と同じく読売新聞がオーナーである既存のマロニエゲート(マロニエゲート銀座1に改称)と併せて3館体制になる。マロニエゲート銀座2(現本館)には、銀座初17店、新規31店を導入し、既存の82店を含む全113テナントでオープン。マロニエゲート銀座3(現アネックス館)は既存店舗の9テナントを継続して運営する。これまで同様、20~40代の働く女性とママをターゲットにするが、婦人服フロアは雑貨比率を50%に拡大し、アパレルと雑貨を一緒に提案する。
◆タカシマヤゲートタワーモール
所在地:愛知県名古屋市
開業時期:4月17日
開発・運営:ジェイアール東海、高島屋
店舗面積:3万2000平方メートル
店舗数:150
JR名古屋高島屋の隣で建設が進むSC。地下1階・地上8階に、「ユナイテッドアローズ」「ビームス ハウス」「メゾン ド リーファー」など150店が入る。3〜8階の各フロアを隣接するJR名古屋高島屋と連結させ、百貨店とモールの回遊性を高める。百貨店が手掛けていない分野に重点を置いたリーシングを取っており、有力セレクトショップが顔をそろえるのが特徴だ。2年目以降の標準年度で売上高337億円を計画する。
◆ギンザ シックス
所在地:東京都中央区
開業時期:4月20日
開発・運営:J.フロント リテイリング、森ビル、エル・リアル・エステート、住友商事
店舗面積:4万7000平方メートル
店舗数:241
松坂屋銀座店跡地に加え、周辺を含む2街区を合わせた再開発による圧倒的スケールを誇る銀座エリア最大の商業施設になる。日本初の本格的ラグジュアリー・モールを掲げている。その象徴として中央通りに面した路面側には、「フェンディ」「ヴァレンティノ」「ヴァン クリーフ & アーペル」「サンローラン」「セリーヌ」「ディオール」の2~5層の旗艦店が並ぶ。上顧客のために百貨店以上のサービスを提供する。上顧客の特別なラウンジ「ラウンジ シックス」には、多言語対応のコンシェルジュが常駐し、館内の飲食店とコラボレーションした特別メニューの提供や、パーソナルスタイリング、メイクアップサービスのほか、文化イベントの開催も予定する。初年度売上高は600億円、来館者数年間2000万人を計画する。
◆松坂屋上野店南館建替計画
所在地:東京都台東区
開業時期:秋
開発・運営:J.フロント リテイリング
敷地面積:2万5000平方メートル
長年、本館と南館の2館体制で運営されてきた松坂屋上野店は、南館を高層ビルに建て替える。1階から6階にはグループ会社のパルコが商業施設を出店するほか、7階から10階にはTOHOシネマズが入居する。シニアに強い既存の本館と、若い世代に強いパルコを核にした新しい南館で3世代を取り込む。高層部にはオフィスを誘致して安定的な不動産収入を確保する。