米百貨店のメイシーズ(MACY'S)は今春、全15万8000人の従業員の約7%に当たる1万人以上を解雇する。そのうち6200人は管理職クラスで、残りの3900人は店舗運営に携わる従業員。ただし、販売員はリストラの対象になっていない。
また、リストラに加え、昨年8月に発表した計画の一環として初春に63店舗、数年以内にはさらに32店舗を閉店する。ミネソタ州ミネアポリスにある12万平方メートルの旗艦店も今年度中に売却する。現在、同社はメイシーズを730店舗、ブルーミングデールズ(BLOOMINGDALE'S)を38店舗構えているが、閉店により今年は合計約5億7500万ドル(約672億円)の売り上げ減を見込む。また、マーケティングや商品、交通費や社内携帯の通話料など、あらゆるコストのカットを図り、これらの戦略により年間約5億500万ドル(約643億円)の経費削減を見込む。
一方、同社は近年百貨店内初のアップルストアを誘致したり、レディー・ガガ(Lady Gaga)とエルトン・ジョン(Elton John)とコラボしたウエアとアクセサリーのライン“ラブ ブレイバリー(LOVE BRAVERY)”をローンチするなど、さまざまな施策に取り組んでいる。今後は店舗数を縮小するものの、傘下に持つビューティショップの「ブルーマーキュリー(BLUEMERCURY)」や、ディスカウントショップ「バックステージ(BACKSTAGE)」を百貨店内に積極的に出店していく。また、米国内のオンラインビジネスやオムニチャネル事業、アリババのTモール内を通じた中国ビジネスに注力する。さらに海外では、現地パートナーとのライセンス契約により春にはクウェートにブルーミングデールズ、2018年にはアブダビにメイシーズとブルーミングデールズをオープンする。
アマゾン(AMAZON)をはじめとするeコマース市場の拡大に苦しむのはメイシーズだけではない。アパレル大手のザ・リミテッド(THE LIMITED)は全店舗の閉店作業を進めており、破産もウワサされている他、百貨店のシアーズ(SEARS)は投資会社からさらなる投資を受ける予定だ。