レナウンは、低価格ブランドを2018年春に立ち上げる。親会社である中国の大手繊維会社、山東如意科技集団の素材調達網や縫製工場を活用するとともに、販売網まで利用して中国でも売る。具体的な商品内容や価格帯、店舗概要などは未定だが、ショッピングセンター(SC)やネット通販(EC)を中心に3年後50億円の売上高を想定する。主力である百貨店での販売が苦戦する中、新しい事業の柱作りを急ぐ。
レナウンの北畑稔・社長は21日に行われた2017年2月期の決算会見で「総務省の家計調査によると(2人以上の世帯の)月ごとの被服・履物への支出は8000~1万3000円。現実に沿った価格帯のブランドが必要」と語った。同社の百貨店での主力ブランド「ダーバン」「アクアスキュータム」はジャケット1着で5万~15万円。連結売上高のうち百貨店販路は6割以上を占める。百貨店の衣料品販売の不振と比例するように、減収に歯止めがかかっていない。同社は以前、「エレメント オブ シンプルライフ」から派生させる低価格ブランドの構想を発表していたが、ゼロから新ブランドを開発する方針に切り替える。3月に社内に準備室を設置し、詳細を詰めている。
山東如意は10年にレナウンに41%出資し、13年には53%に引き上げて子会社した。資本提携した当初にはレナウンの店舗を中国で300店にする計画もあったが、現時点では大幅な未達に終わっている。始めから山東如意の支援を得たブランド開発を行うことで、海外出店を軌道に乗せる狙いもある。
レナウンの17年2月期連結決算は、売上高が676億円(前期比5.0%減)、営業損益が2億4800万円の赤字(前期は5億8600万円の黒字)だった。