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ユナイテッドアローズ、中・低価格帯業態に軸足移す

 ユナイテッドアローズは8日、2020年3月期を最終年度とする「UAグループ中期ビジョン」を発表した。市場を取り巻く環境を鑑み、中価格帯の「グリーンレーベル リラクシング (GREEN LABEL RELAXING、以下GLR)」、低価格帯の「コーエン(COEN)」を重点的に強化する。実店舗での出店拡大だけでなく、ECのシステム、RFID(無線タグ)などを活用した売れる商品の迅速な供給体制など、仕組みへの投資を増やす。経常利益を年率8%成長させ、最終年度には経常利益率7%以上を目指す。同社は金額の目標を発表していないが、試算すると最終年度には売上高1700億円弱(17年3月期は1455億円)、経常利益が約118億円(同94億円)になるもようだ。

 ユナイテッドアローズの連結売上高は、同社がトレンドマーケットと呼ぶ高価格帯の「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS、以下UA)」「ビューティー&ユース(BEAUTY & YOUTH)」(17年2月期の売上高で700億円強)、ミッドトレンドマーケットと呼ぶ中価格帯の「GLR」(同300億円強)、ニュートレンドマーケットと呼ぶ低価格帯の「コーエン」(同100億円強)で構成されている。現在の主力である高価格帯を、伸び代のある中価格帯・低価格帯が「中長期的には並ぶか、あるいは上回る」(竹田光広・社長)将来図をイメージし、経営資源を振り分ける。特に「GLR」は17年3月期も既存店(小売りとEC)売上高が5%増と好調で、期待が高い。

 この市場に向けた新業態開発も進める。昨年、東京・八重洲に出した「GLR」のビジネスウエア専門業態も多店舗化に着手する。「コーエン」を運営する子会社コーエンによる新業態開発も複数進めている。「『UA』ブランドはさらに濃さを極める。一方、ミッドトレンド、ニュートレンドでさらなる成長拡大を目指す」考えだ。

 オリジナル商品が主体になる中価格帯・低価格帯では、企画から生産、物流、販売に至る「商品プラットフォーム」に磨きをかけ、競争力を高める。業態ごとにシーズン・月・週単位でMDを細分化し、商品の的中率を上げる。長期的にはプロパー販売比率で5ポイント以上の改善を計画する。

 中期ビジョンでは併せて、中価格帯・低価格帯業態と親和性の高いECの拡充を事業戦略の柱にした。最終年度の先の長期的な目標としてEC化率25~30%(17年3月期は16%)を目指す。EC向けの在庫を厚く持つとともに、EC専用の商品も充実させる。竹田社長は「当社の強みは実店舗で築き上げてきた信頼感であり、それがあってECも支持されてきた。実店舗はお客さまの期待を上回るおもてなしやスタイリング提案を追求し、ECでは利便性と豊富な品揃えを武器にしていく」と説明しながらも、「(中長期的にも)実店舗は大きく拡大するとは思っていない」とも話す。

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