ワールドの2017年3月期連結決算(国際会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益が前期比24.0%増の144億円だった。一連の構造改革によって売上高に相当する売上収益は同7.4%減の2575億円になったものの、不採算・低収益事業の廃止、プロパー販売の強化などによって粗利益率は0.8ポイント改善した。16年3月期には早期希望退職者への退職金などの特別損失を計上していたため、純利益は約11倍の81億円に跳ね上がった。
構造改革のピークとなった16年3月期に約500店舗を廃止したことに伴う経費削減が寄与するとともに、既存ブランドの収益性の改善が粗利益率を押し上げた。既存店売上高は同1.6%減だったが、上期(4~9月)2.4%減、下期1.0%減と尻上がりに改善が進んだ。「インディヴィ(INDIVI)」「クードシャンス(COUP DE CHANCE)」「ザ ショップ ティーケー(THE SHOP TK)」「オペーク ドット クリップ(OPAQUE.CLIP)」「ハッシュアッシュ(HUSHUSH)」などの主力ブランドは、既存店売上高で前期実績をクリアしている。出店は全体的に慎重な姿勢を取る一方で、「シューラルー(SHOO・LA・RUE)」「ハッシュアッシュ」など地方小商圏マーケットに向けたブランドは53店舗増やした。期末店舗数は出店133、退店186で計2407店舗。EC売上高は同18.9%増の169億円になった。
16日に大阪で会見した上山健二・社長は、「17年3月期に営業利益100億円突破」の目標を16年3月期に1年前倒しで達成したのに続き、今回も大幅増益を実現したことについて「当社ほどの規模をもってすれば、製販コントロールなどによる粗利改善の効果は、掛け算のように出る。社員の潜在能力の高さを感じている」と胸を張った。今年4月からは持ち株会社制に移行した。今期(18年3月期)の業績見通しは公表していないものの、市場環境を鑑み「売上高は若干減る」と見立て、各事業会社の収益性に磨きをかける。