伊藤忠商事は、毎週金曜日にスーツ以外の服装を社員に推奨する「脱スーツ・デー」を明日16日から実施する。ビジネスマンのファッションに一過言を持つ岡藤正広・社長の発案によるもの。社内の服装規定を改定し、ジーンズやカーゴパンツも解禁する。同社が推進する朝型勤務や健康経営などと並ぶ働き方改革の一環で、着慣れたスーツを脱ぎ、新しいおしゃれを楽しむことで、新鮮なアイデアを生みやすい環境を作る。
社員約4300人が対象。社長や役員も含まれる。総合商社の顧客には電力、鉄鋼、銀行など「お堅い業界」も多いが、それらにも適応したスーツ以外のスタイルを提唱する。クールビズが一般的にネクタイを外し、上着を脱ぐだけの格好に落ち着く中、繊維を祖業とする「伊藤忠商事らしい新たな金曜日の装いを社員に推奨」(同社)する考えだ。
旗振り役の岡藤社長は繊維部門出身で、「アルマーニ(ARMANI)」や「トラサルディ(TRUSSARDI)」など海外の有名ブランドと次々に提携を結び、同社のブランドビジネスの基盤を作ってきた人物。先月17日の日経電子版のインタビュー記事「ニッポンのビジネスマン、なんで服に関心ないんやろ」で、服装に無頓着な日本のビジネスマンに疑問を呈し、ネット上で賛否を巻き起こしたことでも話題になった。
「脱スーツ・デー」の一環として、社員男女10人を募り、三越伊勢丹の協力を得て、伊勢丹新宿本店のスタイリスト(販売員)が専属でトータルコーディネートを行うプログラムを実施する。また管理職や役員などの階層別研修でもドレスマナーやTPOに関する講義を開く。