アート・ペック(Art Peck)=ギャップ(GAP INC.)社長兼最高経営責任者(CEO)は今後3年間で、好調な「オールドネイビー(OLD NAVY)」と女性向けスポーツウエアの「アスレタ(ATHLETA)」を約270店舗増やす一方で、不調の「ギャップ」および「バナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)」は“すでに成熟したビジネス”だとして、同期間中に計200店舗あまりの削減を進めることを決めた。
また、現在約3200店舗を運営する同社は今後3年間で7億5000万ドル(約810億円)をデジタル関連に投資することと、ビジネスの規模やスケール、ブランド間のシナジーなどを有効活用して、5億ドル(約540億円)の支出を削減することを宣言した。
同社は2005年までにすでに650店舗を閉鎖しており、店舗削減の傾向は現在も続いている。しかし、現在70億ドル(約7600億円)の「オールドネイビー」の年間売上高は100億ドル(約1兆900億円)に達すると見られており、08年に買収し、当時は小さなビジネスだった「アスレタ」についても10億ドル(約1090億円)以上を狙えるという。
一方で、同社は不調の「ギャップ」と「バナナ・リパブリック」を切り捨てるつもりはないという。ペック社長兼CEOは「両方とも成熟したブランドで、まだまだ利益を生み出すことができる。『バナナ・リパブリック』は不調だといわれているが、われわれはそう思っていない。同ブランドはキャッシュフローを生み出すビジネスだと信じている」と話した。
また、店舗閉鎖については「既存店舗を閉鎖しなくてすむように、手は尽くしている。だが、古くから出店している地域やモールの一部については、顧客が離れてしまった地域も存在する。顧客が移動した場所にわが社も出店するために、店舗を閉鎖する必要があるだけで、損失が出ているから店舗閉鎖を決めているわけではない」と説明した。