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東レ日覚社長、「日本の製造業のIoTはドイツよりずっと進んでいる」

 東レが22日、東京都内で行った記者会見で、日覚昭廣・社長が日本企業のIoT(モノのインターネット化)に対する独自の見解を語った。同社が糸を日本、生地を中国、縫製をベトナムやバングラデシュで、国境をまたぎ年1億枚以上生産しているユニクロの“ヒートテック”を例に取り、「生産設備のビッグデータを取り込んで、効率化につなげるのが製造業のIoTだが、当社はずっと前から取り組んでいる。膨大な生産数量のある“ヒートテック”の生産は必要に応じて瞬時に変えているし、売り上げから利益まで工場では生産品目単位でその日の内に出る。ドイツ発のインダストリー4.0を騒ぐ人がいるが、当社だけでなくIoTでは日本の製造業の方がずっと進んでいる」と語った。

 日覚社長がこう語る背景には、「競争を勝ち抜くために重要なのは、生産の効率化よりも研究開発力」という思いがあるからだ。先日米国でファーストリテイリングと共同で行った展覧会についても、「(米国では)素材開発を、中小企業ではなく、本当に技術力のある企業が一体になって取り組んでいることが知られていなかった。展覧会によって、衣料用の繊維から炭素繊維までを手掛ける当社が関わっていることが分かり、真の商品力が伝わった」と手応えを語った。

 こうした素材開発力を武器に、繊維事業では海外投資のアクセルを踏む。17年度の上期に、繊維事業で異例とも言える大型の投資を相次いで行った。7月には香港の大手ニット会社のパシフィックテキスタイルズに約40億香港ドル(約560億円)を出資、高級人工スエード「アルカンターラ(ALCANTARA)」」を生産するイタリアの子会社アルカンターラでも生産能力を約2倍に引き上げるため、350億円を投じている。

 

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