メンズ・ファッションではここ最近、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」 × 「シュプリーム(SUPREME)」など、社会現象にまで発展するコラボレーションが多発している。そういったムーブメントの立役者の1人が「オフ-ホワイト ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」を手掛けるヴァージル・アブローだ。ヴァージルは今年だけでも「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」や「イケア(IKEA)」、アーティストのボーイズ・ノイズ(Boys Noize)など幅広い相手とのコラボレーションを発表している。直近の「ナイキ(NIKE)」との10足のスニーカー「THE TEN」には、商品を求めて世界中の人が殺到し、11月18日に日本で行われた販売イベントの参加抽選には2万人以上が応募した。今回、同イベントに合わせて来日したヴァージルに「THE TEN」の制作経緯やコラボに対する彼なりの解釈、そしてコラボブームの今後について聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):今回の「ナイキ」との協業の経緯は?
ヴァージル・アブロー「オフ-ホワイト」クリエイティブ・ディレクター(以下、ヴァージル):今回のコラボレーションは「ナイキ」との普段のミーティングから生まれたもの。「スニーカーに何かイノベーションを起こせないか」という簡単な話合いの中でいろいろなアイデアを募り、実現した。
WWD:昔からの「ナイキ」ファンだと聞いたが、どういった点が気に入っている?
ヴァージル:スタイルが一貫しているところ。「ナイキ」は創立時から常にイノベーションを追求し続け、スポーツだけではなくライフスタイルブランドとしても注目されている。私自身、「ナイキ」からインスピレーションを受けていることが多い。特に“エア ジョーダン(AIR JORDAN)”が誕生した90年代に私のデザインの土台や信念は全て形成された。
WWD:「THE TEN」のデザイン上のポイントは?
ヴァージル:簡単に言えば靴全体だ。全スニーカーのデザインコンセプトは“アンフィニッシュド”。手作業で切れ目を入れ、内部の構造を露出させたり、半透明の素材を使ったりしてスニーカーを再構築し、その靴の作りが感じられるようなデザインにしている。個人的にはスニーカーというよりも、ダビデ像やモナ・リザのような芸術作品といった感覚に近い。
WWD:「THE TEN」のイベントで世界を回っている理由は?
ヴァージル:イベントと絡めた形でスニーカーをリリースするのが非常にパワフルだと思ったから。その靴の持つ意味をグローバルなコミュニティーに差別なく伝えていくことが重要だ。