元サッカー選手のデヴィッド・ベッカム(David Beckham)は2月、ロレアル(L’OREAL)とメンズのグルーミングブランド「ハウス 99(HOUSE 99)」を発売する。ベッカムが自身のビューティブランドを持つのは初めて。ロレアルにとっても久々のゼロからスタートする新ブランドだ。
ベッカムはブランド名を筆頭に全ての開発プロセスに関与。「ハウス」の名前は、ベッカムがサッカーを通し、常にチーム・スピリットを大切にしてきたことから選ばれた。彼は「ハウス 99」は、2018年の一大プロジェクトであり、子どもが生まれたり、妻のヴィクトリア(Victoria)と結婚したり、「マンチェスター・ユナイテッドFC(MANCHESTER UNITED FC)」でプレミアリーグとFAカップ、それに欧州チャンピオンズリーグの3冠に輝いたりした時に匹敵する”人生の一大イベント”と話す。
ロレアルによると、商品は全部で21。シェービングはもちろん、ヘアケア、ボディケア、フェイスケアなどを網羅する。「ランコム(LANCOME)」や「イヴ・サンローラン・ボーテ(YVES SAINT LAURENT BEAUTE)」などを統括するロレアル リュクス事業本部のシリル・チャプイ(Cyril Chapuy)セネラルマネージャー代理は、「メンズの世界で最も権威のあるアイコンと、強大なパートナーシップを構築することができた」と話す。ベッカムのイングタグラムのフォロワー数は、現段階で約4170万。今なお、毎月50万人のペースで増え続けている。
商品はベッカムの言葉を借りると、「とてもシンプル。朝起きて、シャワーを浴びて、保湿して。寝る前は同じことをもう一度するだけ」だ。代表例は、全身に40以上のタトゥーを入れるベッカムらしい、“タトゥー・ボディー・モイスチャライザー”。SPF30で、タトゥーの色を損ねない成分を配合している。
「美容師だった母親の影響もあるかもしれない」と話すヘアスタイルへのこだわりも、ベッカムを語る上では欠かせない。特に“ベッカム・ヘア”と呼ばれたスパイクヘアは、大勢の記憶に残っているだろう。ヘアケアの代表的なアイテムは、「スムース・バック」というポマードと、「チェンジ・イット・アップ」と名付けたマットなヘアワックス、それに「ゴーイング・ストロング」と命名したスタイリングジェルなど。グルーミングでは、「ソフター・タッチ」と名付けたヒゲを柔らかくする香り高いオイルなどを揃える。いずれの商品も湿気や汗に強いという。パッケージは潔いモノトーンだ。
商品は2月1日にイギリスで先行発売。まずはハーヴェイ・ニコルズ(HARVEY NICHOLS)の19店舗が独占発売し、3月1日に全英のリアル店舗で販売する。実店舗は厳選し、eコマースにも注力する予定だ。価格はスクラブが15ポンド(約2300円)など。業界筋は、世界展開した際の初年度の売上高は、およそ5000万ドル(約56億5000万円)としている。
総額2100億ユーロ(約28兆3500億円)と言われるビューティ市場の中で、メンズが占める割合は約10%だが、ウィメンズの数倍の速さで成長している。特に10年前に比べてヒゲを蓄える人が格段に増えており、ヨーロッパでは過半に達している。ここに肌への関心が高いミレニアル世代が加わった格好だ。メンズのグルーミング市場は、売り上げの約7割をECなのも大きな特徴だ。「ハウス 99」も、フォロワーの多いベッカムのSNSなどを効果的に用いたい考えだ。
ベッカムは2005年、コティ(COTY)と組んで自身の名前を冠した香水を発売していた。