2018年度インターナショナル・ウールマークプライズ(INTERNATIONAL WOOLMARK PRIZE)が1月9日、第93回ピッティ・イマージネ・ウオモを開催中のフィレンツェで発表された。今年はウィメンズウエア部門とメンズウエア部門に加え、イノベーション・アワードの受賞者も同時発表された。イノベーション・アワードはザ・ウールマーク・カンパニー(The Woolmark Co.)とファッション テック ラボ(Fashion Tech Lab)との協業で新設され、ウールを活用した最も革新的かつ独創的な製作、製作プロセス、または開発をしたブランドに贈られる。イノベーション・アワードはポートランドを拠点にするクリストファー・ベヴァンス(Christopher Bevans)が手掛ける「ダイン(DYNE)」が受賞し、賞金10万ドル(約1130万円)を獲得した。
ウィメンズは、インド・パキスタン・中東地域ファイナリストのルチカ・サチデヴァ(Ruchika Sachdeva)が手掛ける「ボディス(BODICE)」が、メンズはブリテン諸島ファイナリストのマシュー・ミラー(Matthew Miller)が手掛ける「マシュー ミラー」が受賞。それぞれ賞金20万オーストラリアドル(約1740万円)を獲得した他、世界10拠点以上で販売する権利を得た。
審査員はモデルのアンバー・ヴァレッタ(Amber Valletta)、エマニュエレ・ファルネティ(Emanuele Farneti)伊「ヴォーグ(VOGUE)」編集長、映画プロデューサーのリヴィア・ファース(Livia Firth)、モデルのリヤ・ケベデ(Liya Kebede)、ミロスラヴァ・デュマ(Miroslava Duma)=ファッション テック ラボ創業者、フィリップ・リム(Phillip Lim)「3.1 フィリップ リム」デザイナー、ファッション・ジャーナリストのサラ・モーア(Sarah Mower)、スチュワート・マカロー(Stuart McCullough)=ザ・ウールマーク・カンパニー マネジング・ディレクターらが務めた。
「ダイン」は、雪崩が発生した場合にユーザーを追跡できるNFCチップが埋め込まれた耐水性ウールジャケットなど、スノーボードコレクションを発表し、デュマ=ファッション テック ラボ創業者に「ベヴァンスは間違いなくイノベーションリーダー。彼はテクノロジーのあらゆる段階を深く理解している」と評された。ベヴァンス=デザイナーは「限界を押し広げている自信がある。他のクリエイティブなデザイナーもイノベーションを受け入れることができるように広めていきたい」と語った。
フィリップ・リムが「素材や染料の使い方、応用の仕方など何から何までよく考えられている。現代の女性を象徴するコレクション」と評した「ボディス」は手織り職人やインドの染料会社と協力して、ココナッツの殻や貝殻、木材などサステイナブルな素材から作ったボタンをコレクションに取り入れた。
ファルネティ伊「ヴォーグ」編集長が「革新性と可能性とメンズストリートファッションの融合が素晴らしい」と評した「マシュー ミラー」は、デザイナー兼哲学者のディーター・ラムス(Dieter Rams)にインスパイアされたというコレクションで、アクセサリーを服に変換するベルトシステムなどの多機能な要素を取り入れた他、ウールにウォータープルーフなどの加工を施し、廃棄された大理石などのリサイクル素材をプラスチックの留め具の代わりに使用した。
今年は60カ国以上、65人以上のデザイナーがノミネートされ、世界6つの地域でファイナリストが選出された。