15人の男性モデルが写真家のブルース・ウェーバー(Bruce Weber)とマリオ・テスティーノ(Mario Testino)によるセクハラを告発した記事が1月13日付の「ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)」紙に掲載されたことを受け、「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」やコンデナスト(CONDE NAST)社などが次々に両名と絶縁する旨を発表した。
今回新たに両名の起用しない旨のコメントを発表したのは「マイケル・コース」「スチュアート ワイツマン(STUART WEITZMAN)」のほか、「ヴォーグ(VOGUE)」や「GQ」などを擁するコンデナストだ。
コンデナストは「以前も声明を発表した通り、当社はこうしたセクハラ問題に深い怒りを覚え、事態を深刻に受け止めている。今後、ウェーバーやテスティーノといかなる関係を構築するつもりもない」とコメントを発表した。コンデナストは2017年に明るみに出たハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)やテリー・リチャードソン(Terry Richardson)のセクハラ問題を受け、同年10月に業界全体にはびこるセクシャルハラスメントの悪慣習を非難する声明を発表し、告発された写真家の起用を取りやめている。
コンデナストによると、ウェーバーを起用した秋冬シーズンの撮影分とテスティーノを起用した「ヴォーグ」撮影分はすでに印刷されてしまったが、以降は起用しないという。
また、同じく両名を起用しないことを発表した「マイケル・コース」は、「テスティーノに関する訴えを最近把握した。事態の深刻さから、今後テスティーノを広告キャンペーンで起用することはない」とコメントを発表した。ウェンディ・カーン(Wendy Kahn)=スチュアート ワイツマン最高経営責任者兼ブランド・プレジデントも「『ニューヨーク・タイムズ』の記事を読み、とてもショックを受けている。全員に敬意が払われる、安心安全な職場環境の構築を目指す。そのため、今後はマリオ・テスティーノを起用しない」と表明した。
テスティーノのスポークスウーマンは現時点でのコメント発表は予定していないと述べ、ウェーバーの関係者からはコメントを得られなかった。
17年に大物映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ問題に端を発して表面化した、業界全体にはびこるセクシャルハラスメントの悪慣習を撲滅する動きは18年に入っても拡大している。1月に開催された「ゴールデン・グローブ賞」の授賞式では、セクハラ被害者へのサポートと全産業における男女平等を訴えるキャンペーンに賛同した出席者の多くが黒いドレスを着用したことは記憶に新しい。
ウェーバーやテスティーノのほかに10人ほどの名前が今後明らかとなるのではと、業界関係者らは予測する。