ファッション

「アンディフィーテッド」創設者は今のストリートをどう見る?

 米LA発のスニーカーショップ「アンディフィーテッド(UNDEFEATED)」はこのほど、「ビーツ・バイ・ドクタードレ(BEATS BY DR. DRE)」とコラボしたオーディオコレクションを発売した。「ビーツ」と言えば、ベッキーと共に中学生インフルエンサーのヨシ(YOSHI)を起用した放送中のCMが話題。また、藤原ヒロシが日ごろから愛用していたり、ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)が今シーズンのルックブックでコーディネートに取り入れたりと、ファッションとの親和性が極めて高い。3度目となる「アンディフィーテッド」とのコラボでは、代表モデル“ビーツX(BEATS X)”と“ビーツピルプラス(BEATS PILL+)”を大胆なカモフラージュ柄に一新。来日した「アンディフィーテッド」共同創設者のひとり、ジェームス・ボンド(James Bond)に今回のコラボの製作秘話に加えて、現在のストリートシーンについても聞いた。

WWD:今回、タイガーカモ(迷彩柄の一種)を採用した理由は?

ジェームス・ボンド(以下、ボンド):「アンディフィーテッド」はヒップホップとそのカルチャーに影響されて誕生したブランドだから、ミリタリーウエアをストリートのユニフォームとしても取り入れていた。迷彩柄には、影に陥れられたとしても“俺たちの声は必ず届く”というメッセージを込めている。タイガーカモは、サイズや配色、重なり具合でイメージが変わるし、アイテムはもちろん、ビジュアルまでとにかく素敵なモノに仕上がって満足しているよ。

WWD:ストリートを端に発する「アンディフィーテッド」から見た「ビーツ」の印象は?

ボンド:「ビーツ」のデザインは、オフィスはもちろん、カジュアルシーンからパフォーマンスシーンまで幅広くカバーできる。音楽をただ聴くだけのモノじゃなくて、ファッションスタイルの一部にした印象があるね。

WWD:コラボレーションに必要なことは何だと思う?

ボンド:ブランド同士のリレーションシップがないとなかなか実現は難しい。アップル傘下になる前だけど、もともと「ビーツ」には知り合いがいて、彼との話の中からコラボが生まれた。最初のヘッドフォンは“エア ジョーダン(AIR JORDAN)”に別注したオリーブカラーのモデルをモチーフにして、それをデザインに落とし込んだんだ。

WWD:そういう意味ではスニーカーと共通する部分も多い。

ボンド:そうだね。スニーカーのデザインも今回の「ビーツ」のデザインもコラボレーションする過程は常に一緒。基本的には日常使うものをどうやって需要のあるものに変えるかを考えているよ。

WWD:今「シュプリーム(SUPREME)」などのストリートブランドが人気だが、このブームについてはどう思う?

ボンド:僕らの時とは違った新しい世代によるムーブメントだね。中学生や高校生、女性もいたりしてとても幅広い。今のファッションブランドのほとんどのデザイナーがストリートカルチャーで育って、彼らがデザインしているから必然のトレンドでもある。1980年代のストリートファッションを体感した人たちの中から再燃したものだから消費者に響いているんだと思うよ。

WWD:ブームになっているというのは「アンディフィーテッド」としても実感している?

ボンド:ブランドとしては3、4回目のブームかな?「アンディフィーテッド」はお店でもあるから、その時代の売れているものに合わせて手法も変わっていくけど、まだまだストリートブームは続くと思う。それに例えば、スニーカーのパフォーマンス機能っていうのはその時の旬の機能だから、どの時代でも常に勢いが衰えないし、常に人気のあるスニーカーは存在するんだ。それがストリートのスタイルにも大いに影響するね。

WWD:昔と今で行列に違いはある?

ボンド:最近の子は列に並ぶことに慣れているね。それに何が発売されるかっていうよりもみんなが欲しいモノを欲しがっているように感じる。それはSNSの影響が大きくて、欲しいモノは、例えばインスタグラムに投稿して、インスタ映えするものに限られている。みんなSNSで美しい瞬間だけ切り取るから、そのモーメントが自分も履きたい、発信したいって気持ちにつながる。それを買った2倍のお金で転売するまでがステータスにつながっているね。

WWD:それは転売も容認しているということ?

ボンド:仕方ないけど、そういう人たちがいるから行列ができる。本当に欲しい人とバイヤーの対決だよ。通常の値段で買うか、数倍の値段で買うかの違い。

WWD:今日は「ビズビム(VISVIM)」のブーツを履いているけど、今ジェームス自身は志向がブーツ?

ボンド:今日は寒かったからね(笑)。「ビズビム」はブランドスタート当初から取り扱っていて、当時はすごくシンプルだった。どんどんデザイナーとしても成長しているし、素材やディテールに至るまですごくいい。希少性でいえば、「ビズビム」は価格帯もそこそこ高いし、どこでも買えるわけじゃない。だから誰でも履けない特別なモノを履いている感覚になれる。

WWD:最近欲しいと思ったものは?

ボンド:あんまりないけど、「シュプリーム」のギターは欲しいなと思った。エディー(エディー・クルーズ<Eddie Cruz>=「アンディフィーテッド」共同経営者)が、シュプリームLAのオーナーも兼任しているんだけど、彼に聞いても手に入らなかった。

WWD:日本に上陸したら面白いと思うブランドや店は?

ボンド:そういうお店のほとんどはもう日本にオープンしているよ。あまり見逃しているお店はないと思う。

WWD:日本での「アンディフィーテッド」の出店は?

ボンド:実はもうすぐ、キャットストリートの「ジル スチュアート(JILL STUART)」の2階にオープンするんだ。これまでとコンセプトを変えて、ライフスタイルも提案したいと思っている。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。