「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は、パリのプランタン(Printemps)の店舗で4月25日朝に起きた同ブランドの人気スニーカー“トリプル S(TRIPLE S)”のために並んだ買い物客を巻き込んだ乱闘について、中国人客に対する人種差別的対応だという批判を受けて謝罪した。
SNSユーザーがアップした動画によれば、乱闘はすでに並んでいた中国人買い物客を無視してフランス人買い物客が店舗に入ろうとしたことがきっかけで起きた。動画をアップしたユーザーは「中国人を差別した『バレンシアガ』をボイコットしろ。並んでも横入りされる。『バレンシアガ』のスニーカーは中国人客が買わなくなったら売れなくなるだろう。これからは中国ブランド『リーニン(LI-NING)』を買おう」とコメントしている。
乱闘の目撃者は、「横入りされた中国人女性買い物客は毎日同店舗に並んでいた人物で、横入りしたアルバニア系フランス人客に毎日のように横入りされていたが、何も告発などはしてこなかった。だが今日、5人のグループが横入りしたことを彼女が指摘したところ、グループの内の1人が彼女を脅した。彼女を守ろうとして駆け寄った彼女の息子を、グループが殴って乱闘が起きた。フランス人警備員は乱闘が起きてから中国人を拘束するためだけに出動。その日の販売はキャンセルされた。しかも特に不愉快なのは、最初に殴ったグループはスニーカーを買うことができたが、プランタンの従業員はわれわれ中国人客には立ち去るように命じ、もう2度と買いに来るなと言ったことだ」とSNSで状況を説明した。「バレンシアガ」とプランタンのインスタグラムの投稿には非難のコメントが数多く寄せられている。
これに対し「バレンシアガ」は26日に、「昨日パリの百貨店で、顧客が並んでいるときに起きた乱闘について深く反省しています。警備スタッフの行動はことを静めるためのものでした。そこにいた皆様に深く謝罪します。全ての顧客に平等に接することを再確認します」と英語と中国語でツイッターに謝罪文を掲載した。
また、プランタンも同日に中国のSNSを通じて謝罪。「昨日プランタンで起きた乱闘について深く反省しています。本来あるべき顧客対応とは全く矛盾した対応でした。乱闘に巻き込まれた中国人買い物客の皆様、そして今回の件で憤りを感じた方、ご不便をおかけした皆様に深くおわびします。このような状況にも対処できるよう、スタッフには追加研修を命じました。このような乱闘が2度と起こらないように努めます」とコメントした。
今回の乱闘についてコンサルタント会社L2のリズ・フローラ(Liz Flora)=アジア太平洋地域エディターは、転売およびリセール市場が拡大していることが背景にあるとし、「列には多くの購入代理業者が並んでいた。これは中国と他国間の商品の価格差がいかに市場に影響するかを示している。『バレンシアガ』の商品は今非常に人気が高く、需要も非常に大きい。この事件は、多くのブランドが国家間の価格差について再考する機会になるだろう」と分析する。
「シャネル(CHANEL)」など国家間の商品の価格差を是正しようとしているブランドもあるが、輸入税、ブランドイメージ、為替などにより国によって30〜40%の価格差が見られることは珍しくない。