国際綿花評議会(COTTON COUNCIL INTERNATIONAL、以下、CCI)や全米綿花評議会(NATIONAL COTTON COUNCIL OF AMERICA)などの米国綿花の業界団体で推進する「コットンUSA(COTTON USA)」は、サステイナブルな綿花栽培を本格的にスタートする。環境政策、農場の生産性、土地、水、大気、エネルギー利用の効率化の数値目標を策定した。彼らが考えるサステイナビリティーとは「将来のニーズ充足力を損なうことなく、現在のニーズを満たし得ること」。そのために、高品質と高収量を水と化学薬品の使用を減らしながら実現する。具体的にはコンピューターによるハイテク測定システムを使ったテクノロジーである精密農業や、遺伝子組み換えによる品種改良を行う。
2025年までに土地利用の13%削減(繊維1ポンド当たりのエーカー)、水1ガロン当たりの繊維収穫量の18%増加(かんがい用水使用効率の向上)、温室効果ガスの39%削減(繊維1ポンド当たりの二酸化炭素ポンド換算値)、エネルギー使用の15%削減(繊維1ポンド当たり熱量)、土壌侵食の50%削減(トン / エーカー)、土壌炭素の30%増加(単位面積当たりの数値)を目指す。
すでに、無人航空機技術によって畑をマッピングし、水や植物保護製品などの散布が必要な場所を把握し無駄のない適切な量を調整することが可能になっている。また、コンピューターを利用した湿度センサーが水使用の効率を高め、無耕作技術も用いて土壌を守っている。15年の調査では、米綿農家の69%がなんらかの精密農業技術を導入しているが、さらに推進していく。CCIのテッド・シュナイダー(Ted Schneider)会長は「米綿は、科学的アプローチで開発された強く繊維の長い革新的な品種の綿花を使用し、一貫した品質を保っている。その高い均一性と一貫性で信頼されてきた。サステイナブルな綿花もその延長線上にある」と胸を張る。
初めて具体的なサステイナブルな綿花栽培の目標を昨年掲げたが、実は米国では環境負荷の削減は常に進めている。農業セクターの真の影響を定義し計測することを専門とする非営利組織フィールド・トゥ・マーケット(FIELD TO MARKET)の16年のレポートによると、1981年と比べて土地利用は31%、土壌流出は44%、水は82%、エネルギーは38%、温室効果ガスは30%の削減に成功している。シュナイダー会長自身も、米ルイジアナに綿花農場を持つ。「私は農場に住んでいるし、私自身も持続可能な栽培を目指し、より良い環境を作っていきたいと考えている。一時は、絶滅危惧種だったクマや白頭ワシなども私たちの畑に戻ってきている。近くの池にはカメがいるし、その池で孫はカヤックを楽しんでいる。環境が改善されたと感じるし、さらによい環境作りに努めたい」と語った。
世界に輸出される綿花の40%は米国のコットンで、世界最大の綿花輸出国でもある。2017年の世界の綿消費量は1億1500万俵(約2507万t)で、そのうち2100万俵(457万8000t)をアメリカが生産している。