今月で開港40周年を迎えた成田空港が、ショッピングセンターとしての存在感を高めている。成田空港の商業施設の2018年3月期の売上高は、前期比14.8%増の1246億円に達した。アジアを中心とした訪日客の増加によって、国際線の外国人旅客数は同11.5%増の1594万人。追い風を生かすべく、ラグジュアリーブランドの免税店を拡充するなどの積極策を打ったことが奏功した。運営する成田国際空港(NAA)は中期目標として1500億円を掲げており、実現すれば百貨店の三越日本橋本店(18年3月期1553億円)とほぼ肩を並べる。
流通関係者の間で成田空港は「売上高日本一のショッピングセンター(SC)」として知られている。特に訪日客が著しく増えた16年3月期には、売上高で初めて1000億円を突破。家賃契約でテナントを集めるSC業態として1000億円以上を売るのは成田空港だけであり、御殿場プレミアム・アウトレット(三菱地所サイモン)、ラゾーナ川崎プラザ(三井不動産)、ららぽーとTOKYO-BAY(同)などの有力SCを抑えて頭一つ抜けた規模になる。
空港内はファッションから化粧品、雑貨、家電、土産物、飲食まで300店舗以上が営業しているが、売上高をけん引するのはラグジュアリーブランドの免税店だ。前述の有力SCの店舗面積が8万〜10万平方メートルと大規模であるのに対し、成田空港の商業施設は約3万平方メートル超(弊紙推定)に過ぎない。にもかかわらず、ラグジュアリーブランドのバッグや服飾雑貨、時計、ジュエリー、アパレルなどが客単価を引き上げる。坪効率は都心の百貨店と比べても遜色がないほどだ。
第2旅客ターミナルの制限エリアには16年11月から12月にかけて「シャネル(CHANEL)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」「プラダ(PRADA)」が、第1旅客ターミナルの制限エリアにも17年11月に「ボッテガ・ヴェネタ」の免税店がオープンした。18年3月期の業種ごとの売り上げ伸び率は、飲食店が8%増、物販店が5%増だったが、ラグジュアリーブランドを主力としたブランドブティックの免税店は27%増だった。
国籍別の売り上げシェアは中国系(中国、香港、台湾)が55%、韓国人が6%、その他外国人が18%、日本人が21%。購買単価は中国系が圧倒的に高く、日本人の1.5倍の金額を落としていく。
NAAは19年3月期の商業施設売上高を前期比11.6%増の1392億円と予想する。今年4月には第1ターミナルの出国エリアに「グッチ(GUCCI)」の免税店を開くなど、引き続きラグジュアリーブランドの充実を図る。免税店以外も積極的な改装を行う。夏に予定されるダイヤ改正では就航都市が1年前に比べて8都市多い133都市となり、開港以来最大になる。20年の東京五輪を見据えて、しばらくは右肩上がりの成長を見込む。