大手アパレルのワールドは6月1日、クラウドファンディングのキャンプファイヤーと資本・業務提携を結んだことを発表した。出資額は非公表。今後、キャンプファイヤーはクラウドファンディング上で支援するクリエイターや企業に、ワールドの持つプラットフォームの活用を促していく。
キャンプファイヤーは2011年に設立した日本最大のクラウドファンディングプラットフォーム。クリエイターが持つアイデアを実現するために必要な資金を、そのアイデアに共感した人々から調達できるサービスを提供している。これまでのプロジェクト掲載数は1万2000件以上で、支援総数は52万人を超え、流通額は約51億円にのぼる。16年10月に開始したファッションに特化したクラウドファンディングサービスの「クロス(CLOSS)」では、ファッションブランド育成プログラム「クロス ファッションフォワード(CLOSS Fashion Forward)」で東京を拠点にするデザイナーズブランドの「プラスチックトーキョー(PLASTICTOKYO)」「ハトラ(HATRA)」「テンダーパーソン(TENDER PERSON)」の3ブランドを支援している。同年12月には、ブランド立ち上げとアパレル製造プラットフォーム「スターテッド(STARted)」を運営元のバンダースナッチから事業譲受した。
今回の提携のきっかけは昨年11月、家入一真キャンプファイヤー社長からの申し出だった。「7年前からクラウドファンディングを開始し、さまざまなジャンルのプロジェクトを実現する場を提供してきた。2年前にスタートしたファッションに特化したクラウドファンディングの『クロス』では、小規模で展開していて、そこから一歩先に踏み出せないブランドが多かった。機能補充がされなければ、継続的な育成が難しい。その時にワールドがプラットフォームのオープン化を進めていると聞いて、力を借りたいと相談した」と説明する。上山健二ワールド社長は「キャンプファイヤーに集まるクリエイターに、足りないピースをワールドが補完することはできるのではないかと考えた」と語る。
現在ワールドは、同社の持つ生産、店舗、販売、空間設計などのノウハウを外部企業へも提供するプラットフォーム事業を強化している。クリエイターに対して、国内に自社工場や提携工場を持つ生産力や店舗開発面で出店サポートが可能だ。また、PR面ではワールドが表参道に構える自社の北青山ビルのプレスルームの活用や、同ビルの1階を展示会スペースとして貸し出すことを検討する。