オンワード樫山は2018年秋、特許を持つ新構造高性能ダウン「ADS」を軸としたプロジェクトをスタートする。「アドバンスド ダウン システム(ADVANCED DOWN SYSTEM)」から名付けた「ADS」は、特殊テープをステッチ(縫い糸)の代わりに用いたステッチレスのダウンで、羽毛が出にくい上、デザインの自由度も高い。今後は他社への技術供与も検討している。
今秋は同社のウィメンズ11、メンズ6のナショナルブランド計17ブランドで構成する“スタンダード”と、社内公募と外部デザイナーを起用したデザイン性の高い“ニュージェネレーション”の2ラインを展開。さらに2019年秋には国内外の著名デザイナーやクリエイターとコラボし、海外へアプローチする“プレミアム”ラインも加える。価格は“スタンダード”で5万円前後、“ニュージェネレーション”のアイテムで8万円前後となる。
13日の会見で大澤道雄オンワード樫山社長は「メーカーとして長年培ってきた技術と機能価値を次のイノベーションとして、単品力で世界に売れるモノを目指す。従来の百貨店やEC以外の販路として、セレクトショップや専門店への卸売りも拡大する予定だ。国外での展開も視野に入れている」と話した。
今秋冬は中島篤「アツシナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)」デザイナーと江角泰俊「エズミ(EZUMI)」デザイナーを起用し“ニュージェネレーション”に6アイテムをラインアップする。登壇した江角デザイナーは自身がデザインしたチェスターコートを披露しながら「『ADS』のデザインの自由度に着目し、本来ダウンにはないデザインにチャレンジした。『ADS』でしか出せないデザインになっている」と満足感を示した。また中島デザイナーも「将来性のある素材。最初オファーをもらった時にデザインをしてみたいと思った」と話した。
「ADS」は先行的に昨年秋冬、メンズで2万点を作り、プロパー消化率70%に達した。今秋は6万点以上を用意し、売上高25億円を目指す。ブランド化を加速させ、2~3年後には100億円規模のプロジェクトに成長させたい考えだ。