中国第2位の大手ECサイト「JDドットコム(JD.com)」を運営する京東集団(以下、JD)は、6月18日の創業記念日に合わせたアニバーサリーセールで、1日から18日間の流通総額247億ドル(約2兆6923億円)をたたき出した。前年同期の流通総額71億ドル(約7739億円)の3倍を上回る数字だ。同セールは「JDドットコム」で1〜20日に、ラグジュアリーECサイトを謳う「トップライフ(TOPLIFE)」では14〜20日に開催された。
今年は「6・18セール」期間中に中国の祝日「ドラゴンボートフェスティバル(龍船節)」や父の日、ワールドカップが重なり、1〜18日の期間でメンズベルトは51万本、「アディダス(ADIDAS)」の売上高は前年同期比3倍、「フィラ(FILA)」と「アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)」の売上高も同2倍を記録した。
JDが創業したのは20年前の1998年6月18日。創業者のリチャード・リウ(Richard Liu)は、北京市内の広さわずか3平方メートルのテクノロジー製品を扱う店舗からビジネスを始め、当時中国で蔓延していたSARSの猛威を目にしてインターネットを介して商品を売ることを決意し、2004年に「JDドットコム」を立ち上げた。以来毎年開催している「6・18セール」は、ライバルである中国最大手のEC企業アリババ(ALIBABA)が年に1度11月11日の「独身の日」に行う24時間限定の大セールに次ぐ大規模商戦となった。17年の「独身の日」のアリババの流通総額は1682億元(約2兆8594億円)を超えた。
中国のEC市場はアリババとJDが市場の大半を占めるが、JDの強みは家電と、商品の仕入れから物流、宅配まで自社で一括管理している点だ。最近では中国のEC企業テンセント(騰訊、TENCENT)や米小売り大手のウォルマート(WALMART)に加え、グーグル(GOOGLE)とも戦略的提携を締結し、5億5000万ドル(約600億円)の出資を受けている。JDはさらにアリババの「独身の日」と差別化を図るために、完全自動化倉庫、AR(拡張現実)ショッピングなどのITを活用した設備を整えた。ARを活用したカラコンの試着体験ができるJDのARスタイリングステーションは、セール期間中にカラコンを購入した消費者の70%が利用しており、「ジョンソン・エンド・ジョンソン(JOHNSON & JOHNSON)」の“ワンデー アキュビュー モイスト(1 Day Acuvue Moist)”は1日で約5万2000箱が売れたという。
1400ブランドと提携したオフラインのポップアップショップでは、30都市の開催で計4300万人が訪れた。そのうち北京の三里屯で行ったJDファッションスペースのポップアップストアは、6月8〜10日に約2万8000人が訪れた。シューズブランドの「アオカン(奥康、AOKANG)」と「アーク(鴻星、ERKE)」、メンズブランド「セプトウォルブズ(七匹狼、SEPTWOLVES)」と提携したプロモーションを実施した5日間では約32万人の新規顧客を獲得したという。
アナリストらは、アリババの「独身の日」セールに合わせてJDをはじめとする各EC企業が便乗してセールを開催しているため、今後アリババもJDの「6・18セール」期間中に大規模セールを行う可能性もあるとみている。