中国の大手EC企業、JDドットコム(JD.com)の2018年1~6月期決算は、売上高が前年同期比32.0%増の2224億元(約3兆5584億円)、純損失は前年同期2562万元(約4億900万円)から7億9992万元(約127億9800万円)に膨らんだ。
JDドットコムは未来型の小売り形態の実現に向け、長期的成長を見据えてテクノロジー、流通インフラ、研究開発に投資している。子会社のJDファイナンス(JD FINANCE)、JDロジスティクス(JD LOGISTICS)に続き、今上半期は物流資産管理会社を設立。自社ECサイト「JDモール(JD MALL)」の運営インフラとサービス向上をテコ入れする。すでに2500万平方メートルを超える面積の物流施設を建設しており、投資資産としても活用する。物流施設は安定した賃借料を見込めるリース物件として投資ニーズがあるという。ジャンウェン・リャオ(Jianwen Liao)最高戦略責任者は「小売りとそれ以外の業界の境界線がなくなり、ソーシャルコマースやAIコマース、IoTコマースなど販路が増えていく中で、もはや品ぞろえと品質ではなく、誰に何を売るべきかの最適化が重要だ」と語った。
同社は4月に自社開発の感情分析AIプラットフォーム“ニューハブ(NeuHub)”を導入した。6月にはグーグル(GOOGLE)と戦略的提携を締結し、小売りソリューション共同開発のために5億5000万ドル(約605億円)の資金をグーグルから受けている。また「無印良品」の海外ブランド「MUJI」やスイスの高級時計ブランド「カール F.ブヘラ(CARL F. BUCHERER)」がJDドットコムに出店。そして、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」がJDドットコムのラグジュアリーブランド専用ECサイト「トップライフ(TOPLIFE)」に出店した。同サイトは中国の裕福層をターゲットとし、年中無休のカスタマーサービスを提供し、配送は“ホワイトグローブデリバリーサービス”と呼ばれる、特別なユニホームと白い手袋を着用した専任ドライバーが電気自動車で行う。他にも“フラッシュデリバリー”という流通サービスを採用しており、特定の地域と購入品によっては、受注後、数分から1時間以内で配達が完了するという。
リチャード・リュー(Richard Liu)会長兼最高経営責任者(CEO)は、中国だけでなく、国外でもJDドットコムのインフラを利用する企業が増加しているとコメントし、「これからもテクノロジー革新への投資を第一優先とする。サービス向上と効率化でクライアントの満足度を高め、われわれのポリシー『サービスとしての小売り』を実現し、さらなる成長への足掛かりにする」と語った。
6月末までの1年間のアクティブ顧客アカウント数は、前期比21.5%増の3億1380万だった。