ファッション

「ポメラート」創業者が82歳で死去 女性が自分のために買うジュエリーを提案

 伊ジュエリーブランド「ポメラート(POMELLATO)」の創業者ピノ・ラボリーニ(Pino Rabolini)が24日、心臓発作のため死去した。 82歳だった。

 「ポメラート」は1967年にイタリア・ミラノで創業。ピエール・カルダン(Pierre Cardin)など当時活躍していたデザイナーに刺激を受け、ジュエリーにも“プレタポルテ”の概念を取り入れた。伝統的なミラノの金細工技術と職人の手仕事で知られ、“モンテナポレオーネ(MONTENAPOLEONE)”“サッビア(SABBIA)”“ヌード(NUDO)”などユニークなコレクションをそろえる。2013年に「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」などを擁するケリング(KERING)傘下に入った。

 ブランド創立50周年を記念して発行された書籍「Pomellato: Since 1967」の中でラボリーニ自身は「私が常に念頭に置いたのは特別な女性ではなく一般の女性だ。女性たちがダイナミックに変わっていく様を目の当たりにし、チェーンやチャームを使ったダイナミックなジュエリーこそ新しい時代の女性たちにふさわしいと思った。同時にデザインや品質、購入しやすい価格も外せなかった。ジュエリーの“プレタポルテ”化に取り組み、ゴールドをモダンジュエリーに発展させようと考えた」と語っている。

 サビーナ・ベッリ(Sabina Belli)=ポメラート最高経営責任者(CEO)は、15年の現職就任時のラボリーニとの面談を振り返り、「非常に控えめで、信頼のおける人物だった。自分の意見を率直に語るが、他人の意見にも耳を傾ける人だった。『ポメラート』に思い残すことはなく、アートの世界でやりたいことがたくさんあると言っていたが、その機会がなかったことが悔やまれる」と語った。

 09~15年にポメラートCEOを務めたアンドレア・モランテ(Andrea Morante)=セルジオ ロッシ(SERGIO ROSSI)会長はラボリーニについて「常に時代の流れに逆らい、新たな道を切り開いた。ジュエリーは男性から女性に贈るものというのが定説だったが、彼が初めて、女性が自分自身のために購入するジュエリーというカテゴリーを作った」とコメントした。ケリングへの売却については「必ずしも経済的な理由ではなく、ブランドの存続を考えてのことであり、正しい選択をした」と語った。

 グイード・ダミアーニ(Guido Damiani)=ダミアーニ社長は「先見性と創造力に富み、現代的なジュエリーの発展に大きく貢献をした。デザイン、ファッション、ジュエリーを統合するマスターだった。とても寂しいが、彼の偉業に深い感謝の念を示したい」と語った。

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