エルメスジャポンは、エルメス財団による「『眠らない手』エルメスのアーティスト・レジデンシー展」を銀座メゾンエルメス フォーラムで開催している。2010年から主にフランスにあるエルメスのさまざまな工房でアーティストたちが滞在制作を行う「アーティスト・レジデンシー」の一環で、メンターと共に職人たちの技に触れる機会を提供する。
今回は「眠らない手」と題し、職人やアーティストの“動き”や“しぐさ”に焦点を当て、9人のアーティストによる作品を2期にわたって展示する。11月4日まで開催中の初回は、ブラジル人のクラリッサ・ボウマン(Clarissa Baumann)とベルギー人のルシア・ブル(Lucia Bru)、フランス人のセリア・ゴンドル(Celia Gondol)、アメリカ人のDH・マクナブ(DH McNabb)の4人が参加。内覧会では、エルメス財団のカトリーヌ・ティケニス(Catherine Tsekenis)ディレクターと今回のキュレーター、ガエル・シャルボー(Gael Charbau)とともに、ボウマンとゴンドル、マクナブが来日し、作品について話した。
ボウマンはカトラリーで有名な仏ピュイフォルカの工房で、職人と2人で約3カ月かけ、1本のスプーンを長いシルバーのワイヤーに引き伸ばした。「職人と2人で時間をかけて行った。この“徐々に”というゆっくりとした過程で、職人の身振りを観察し、自分の体にも記憶させた」と振り返る。
振付家としても活動し、内覧会では歌のパフォーマンスも行ったゴンドルは、シルクスクリーンの技術を用い、“宇宙の謎”との対比を楽しみながら、長さ40mのテキスタイルを披露した。工房の職人たちの手を借り、宇宙のダイナミックな軌道線をインスピレーション源にあらゆる色や模様で表現。長さのインパクトだけでなく、裏表に映るプリントも楽しめる。
ガラス作家のマグナブは、初めてクリスタルの制作に取り掛かり、どのように泡や輪、光を閉じ込められるかに挑戦した。フランスの工房で、フランス語が話せないマグナブは職人とジェスチャーで意思疎通しながら、作業に取り組んだという。スクエアのクリスタルの中には、自分の息を閉じ込めることに成功。中央に浮かぶ輪っかが幻想的だ。
11月15日からは、新たに5人のアーティストによる2回目の開催が始まる。
■眠らない手:エルメスのアーティスト・レジデンシー展
日程:9月13日〜11月4日 / 11月15日〜2019年1月13日
時間:月〜土曜日11:00〜20:00(入場は19:30まで)/ 日曜日11:00〜19:00(入場は18:30まで)
定休日:不定休(年末年始は「エルメス」銀座店の営業時間に準ずる)
場所:銀座メゾンエルメス フォーラム
住所:東京都中央区銀座5-4-1 8階
入場料:無料