2019年春夏シーズンの話題のショーの一つといえば、リカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)による新生「バーバリー(BURBERRY)」だ。コレクションはもちろん、ショー演出やモデルなどでも注目を集めた。モデルは、ベテラン勢に交じり14人の新人がエクスクルーシブとして選ばれた。その中でも鮮烈なデビューを果たしたのが、ドイツ出身のアリサ・ラエフスカヤ(Alisa Rajewskaja)。プロのモデルとして仕事を始めたばかりの彼女のランウエイデビューは、滑りやすい舞台というモデルにとって最悪の条件で、見事に足を滑らせてしまった。これまでもナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)やカロリナ・クルコヴァ (Karolina Kurkova)らがショーでコケるというミスを犯してきたが、普通なら、そのモデルは2度と起用されないと言われるほどの失態だ。今回は何が起こったのか?アリサにショーについて聞いた。
WWD:ランウエイデビューが今シーズン大注目の新生「バーバリー」だった。きっかけは?
アリサ・ラエフスカヤ(以下、アリサ):はじめに「バーバリー」から事務所に直接依頼があって、すぐにロンドンでのオーディションに向かったわ。キャスティング・ディレクターのアダム・ヒンドル(Adam Hindle)の前でウオーキングを見せた後、リカルドの前でも歩いた。翌日にはもうヘアやメイクアップ、着用ルックのフィッティングが始まったの。
WWD:実際にショーに出てみた感想は?バックステージはどんな雰囲気だった?
アリサ:私にとっては初めてのファッションショーだったから、とにかく緊張していたわ。ショーが始まる前のバックステージは、ヘアメイクの最終チェックでヘアスプレーの霧まみれになったり、メイク直しでスタッフに囲まれたり、どのスタッフも室内を走り回るほど忙しくて、私は気絶しそうな気分だったわ(笑)。それにスマホを含む多くのカメラが常に動画撮影をしていて、とてもストレスフルでもあったわね……だけど、それと同時にすごく興奮もしてたけどね!
WWD:ショーで着たルックについて教えて。
アリサ:黒いラインストーンを散りばめて刺しゅうされた長袖のブラックドレス。首回りやスカートの裾にも、ラインストーンが付いたレースが重ねられていたわ。その上から黒いブレザーを重ね着。背中には、シェークスピアの引用文がプリントされているの。
WWD:ランウエイでコケてしまった理由は?ハイヒールのせい?ランウエイが滑りやすかった?
アリサ:ランウエイはちょっと用心しなきゃいけなかったわね。気をつけなきゃいけない曲がり角や階段がいくつもあって、中でもスロープは特に歩きづらかった。その上、靴のサイズが私の足に合ってなくて、余計に歩きづらかった。時間もない中、その靴で本番を迎えたんだけど、徐々につま先を感じなくなるくらいの痛みがあって。気づいたら、(米「ヴォーグ(VOGUE)」編集長の)アナ・ウィンター(Anna Wintour)の前でコケていて……でもスロープだったから、そう簡単には起き上がれなくて。ラッキーなことに、そのシーンは生中継には流れなかったみたい。でもスーパーモデルだってコケることはあるのよ。
WWD:モデルを始めたきっかけは?初めての仕事は覚えてる?
アリサ:13歳の時にスカウトされて、15歳で今の事務所に入ったの。年齢が若いこともあって勉強を優先してきたから、数多くの仕事をしてきたわけじゃないけど、初の仕事はおそらく、15か16歳の時のドイツ人デザイナーのショールームでモデルをしたときかな。昔はよく、友達のフォトグラファーといろんなロケーションに行って撮影をしたんだけど、今じゃ2人ともプロフェショナルになったわ。
WWD:今シーズンはミラノやパリにも挑戦した?
アリサ:行かなかったわ。ロンドンでたくさんのリクエストがあったから、今回はロンドンでより経験を積もうと思ったの。
WWD:憧れのモデルは?
アリサ:影響を受けるモデルはたくさんいるけど、その中でもカーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)かな。私と同じ、眉毛が印象的だからということじゃなくて、彼女自身がとても楽しい性格で、楽天的なんだと思う。モデルという仕事は、注目されれば急速にキャリアアップできるけれど、彼女の場合はそのキャラクターが注目されるだけでなく、チャリティーなどにも取り組み続けている姿勢がとても尊敬できるわ。
WWD:将来起用されたいブランドはある?
アリサ:起用してもらえるなら選ばないわ。こうしてフィーチャーされることもすごくうれしい。でも、いつか雑誌の表紙を飾れるようになったら、それはすごくクールなことね。
WWD:最後にあなたの強みは?アピールして。
アリサ:すごく野心的なところかな。常に自分自身を向上させたいって思っているし、自分を偽ることなくクライアントと向き合っていきたいと思っているわ。