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「自分のメッセージを世界に発信できるチャンス」 ZOZO前澤社長が“月旅行”について語った一問一答

 テスラ(TESLA)やスペースX(SPACE X)を率いるイーロン・マスク(Elon Musk)氏とともに、民間人として世界で初めて月を周回するプロジェクト「#dearMoon(ディアムーン)」を発表したZOZO(旧スタートトゥデイ)の前澤友作・社長が9日、東京にある日本外国特派員協会で記者向けの説明会を開催した。大きな注目を集める同プロジェクトだけに、会場にはスペインやロシア、インドネシア、フランスなど世界中からメディアが殺到。会見での記者団と前澤社長の質疑応答をまとめた。

ーまず、今日の洋服は?

前澤友作ZOZO社長(以下、前澤):宣伝になってしまうが(笑)、全身「ゾゾ」を着ている。

ーZOZOを経営しながら、訓練もしなければいけないわけだが、どのように時間を使うつもりか。

前澤:ZOZOでは6時間の短時間労働を推奨している。これを始めたときから無駄な会議や資料をなくすなど、社員の働き方が変わった。私自身も会社には週3〜4日、6時間ずつしかいない。それ以外の時間は勉強や体験、買い物に使っている。会社以外で過ごす時間を大切にしていて、社員にもたくさんのインプットをしてほしいと伝えている。インプットを増やす一環として僕も月へ行くことを選んだ。

ー直近ではインドネシアで地震があったが、個人として月に行くような活動と寄付などの社会貢献のバランスをどう考えているか。

前澤:何かあるたびに自分には何ができるのかと考えているが、寄付はお金を送って終わってしまいがちなので、寄付だけでいいのかというジレンマは毎回感じている。反対に、今回の「ディアムーン」のように何かを買ってシェアすることは得意ではある。趣味も仕事もその先には誰かの役に立ちたいという思いがある。これからもバランスをとりながら両方に取り組みたい。

ーどういったアーティストを招待するのか。

前澤:僕の夢は“世界平和”。世界を何らかの形でよくしたいという思いを持つアーティストを探したい。加えて、自分が好きな人であることも重要だが、まだ声かけなどの活動は開始していない。

ー前澤社長にとって、アートとは。

前澤:言語を超えて向き合えるもの。人と人をつないだり、自分を見つめ直すきっかけをくれるもの。

ーどういう国の人々を連れていきたいか。

前澤:なるべくワールドワイドにしたい。

ーもしも、バンクシーが宇宙船を爆発させたいと言ったら?

前澤:突拍子のないことを言う人もいるだろうが、それをうまくまとめるものが僕の仕事だ(笑)。

ー歴史上で尊敬する人物は?

前澤:身内で恐縮だが、両親をとても尊敬している。こんな厄介な息子を育ててくれてありがとう、と伝えたい。

ートレーニングはすでに始まっているのか。

前澤:具体的には一切決まっていない。イーロンは「そんなに大変じゃないよ」と言っている(笑)。英語の勉強は必ずやらなければいけないと思っている。

ー宇宙に行く上で一番楽しみなことと怖いことは?

前澤:不安を言い始めるとキリがないので考えないようにしているが、アーティストに対する安全の担保がないといけないと思う。楽しみなことは、月に近づくことはもちろんだが、丸い地球を直接見ることだ。

ー子どもたちを連れて行く計画はあるか。

前澤:子どもは簡単に月に行けるものだと思っている。「まだ君たちは行けないから、まずは僕が行ってくるよ」と伝えてはいるが、出張後などに子どもたちと話すと「パパ、月へ行ってきたの?」と聞かれるようになった(笑)。

ー月とはずれてしまうが、球団経営の進捗については?

前澤:まだ何もお話ができないが、思いはたしかに持っている。動いていないわけではないので、しかるべきタイミングが来ればきちんとお伝えする。

ー今回のプロジェクトでZOZOの名前が海外に広く知れ渡ったと思うが、プライベートブランドの海外展開にはどんな影響が?

前澤:これまで「バスキアの前澤」と言われてきたが、最近は「月の前澤」と呼ばれるようになった。いやらしい話だが、ビジネスとして、これを機に名前を広めていきたいとは考えている。ちなみに、海外では「前澤」という名前が呼びにくいらしく、「MZ」と呼んでくれと伝えているが、全く広まらない(笑)。

ーイーロンもSNSが問題になっていたが、ツイッターをチェックする人はいるのか?

前澤:会社に関するツイートは、会社のルールに基づいてやっているが、個人のツイートについては自分の判断。時には感情的になってしまうなどの失敗もあるが、例えば求人をすればたくさんの応募も来るわけで、使い方次第だと考えている。

ー月のプロジェクトのために株を売却するつもりはあるか?

前澤:スペースXに対してデポジットはすでに支払っているが、金額は話せない。その資金についても今日は話せない。

ー今後の買い物の予定について。

前澤:僕はものすごくこだわって作られたものが好きなので、どうしても高額になってしまうが、僕が本来買いたいのはその裏にある情熱。その情熱は自分の仕事にも生きてくる。今後も買うのかということについては、まだまだほしいものがたくさんがあるが、お金も時間も制限がある。実はこれ以上何かがほしいとはあまり思わない。むしろ、その情熱を若い人たちに伝えたい。

ーイーロンと話して、彼を信頼できると感じたのはどんな時か。

前澤:彼を信頼できると感じたきっかけは、彼の社員の姿勢や接し方が素晴らしかったこと。誰もが彼を信じていて、自分も一経営者としてそうでありたいと感じた。

ー恋人でもある剛力彩芽さんは月へは行かないということだったが進捗は?

前澤:アーティストもそうだが、船員はまだ一人も決まっていない。本人もプロジェクトを知っているし、本人は行きたいと言っているが、今回はただ楽しんでいく旅行ではない。彼女に月へ行くミッションがあって、それを船員が受け入れれば、もちろん可能性はある。

ー「世界平和」という夢はいつから持っていたのか。

前澤:思春期からそういう思いはあった。何よりアメリカ同時多発テロがあって、自分の思いが固まった。

ー人類の宇宙進出に関してどう考えているのか。

前澤:宇宙産業界全体を盛り上げたい。日本にもベンチャー企業がたくさんあって、彼らと会う機会も増えた。宇宙に何があるのか僕にはまだわからないが、チャレンジするという姿勢を見せられることは光栄だと思う。

ーZOZOの事業として宇宙服を作るようなことは考えているか。

前澤:「宇宙服を“ゾゾスーツ”をもとに作ってよ」とイーロンに話したが、軽く流されてしまった(笑)。それでも、何か僕らの事業が役に立つのであれば光栄だ。

ーアートに造詣を深めたのはいつ?

前澤:小さいころは大工さんになりたいと思っていた。途中からその夢は漁師に変わるのだが、僕はとにかく職人さんが大好き。会社でもDIYはすごく重要なキーワードで、物流や倉庫、システムなど、ファッション企業ではやらないようなところまで自前で作ることもある。

ー英語はどうやって勉強しているのか。

前澤:みんなと一緒でスマホのアプリで単語の勉強をしたり、あとは恥を忍んで話すこと。アメリカでの会見も日本語でいいと言われたが、英語で突き通した。

ー月へ行くという大きな決断をできた最大の要因は?

前澤:4〜5年前に初めて月へ行けるという話を聞いたが、その時自分のメッセージを世界に発信できるチャンスだと感じた。

ー最後に、世界に遅れをとると言われる日本企業だが、「ゾゾタウン」のビジネスモデルについてはどう考えているか。

前澤:日本人が得意なのはクラフツマンシップ。僕は職人さんを育てることで日本を盛り上げたいと思っている。「ゾゾタウン」は当初お洋服を売る場所だったが、自分たちでもモノ作りを始めた。こうしたモノ作りを世界に発信していくべきだし、これが日本の強みなんじゃないかと思う。

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