オンワードラグジュアリーグループ(ONWARD LUXURY GROUP以下、OLG)は傘下ジル・サンダー(JIL SANDER)の新CEOに、同ブランドコマーシャルディレクターのアクセル・ケラー(Axel Keller)を任命した。前任のアレッサンドラ・ベッターリ(Alessandra Bettari)はバイス・プレジデントとしてOLGにとどまる。今回の異動は4月のフランコ・ペネ(Franco Pene)OLG会長の退任に伴う人事再編に端を発する。
ヴァレクストラ(VALEXTRA)のCEOや、フェンディ(FENDI)およびフルラ(FURLA)の日本法人のトップを経験したベッターリ=バイス・プレジデントは「今回の人事はジル・サンダーとグループ全体の両方を成長させるためのもの。われわれは常に進化している。ペネ会長の退任と、白石丈宏・会長およびわれわれの昇進は、 今後の拡大に焦点を当てていく戦略を意味する」と語った。
ケラー新CEOのジル・サンダー入社は2月で、それ以前は「バレンシアガ(BALENCIAGA)」でコマーシャルディレクターを15年勤めていた。「ジル・サンダーには輝かしい過去があるが、ここ数年その復活の兆しは見られなかった。ルーシー(Lucie Meier)とルーク・メイヤー(Luke Meier)のクリエイティブの方向性に沿ってリブランドを進めることで、ブランドのビジョンを明確に表現できると考えている。 認知度と存在感を高めることに集中しなければならないことは確かだ」とコメントした。
OLGは2008年に英投資会社から1億6700万ユーロ(約215億円)でジル・サンダーを買収し、ベルリンやミラノなどで11店舗を展開。9月に東京・表参道に新コンセプトの旗艦店をオープンしたほか、パリのギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)やロンドンのセルフリッジ(SELFRIDGES)にも最近コーナーを構えた。
また、「ユークス(YOOX)」との契約が切れる来年末に、自社でECサイトを開設する予定だ。ケラー新CEOは「私たちはオムニチャネルと柔軟性に重点を置いたビジネスを展開する」。フットウエアやバッグも積極的に投入するなど、製品の拡充に取り組んでいることにも言及し、「最終的な目標は全カテゴリーを提供することだ」とした。ジル・サンダーにとって日本とドイツが最大市場だが、「世界規模で流通のバランスをとり、特にアメリカとヨーロッパでの存在感を高めることを目指す」という。