ファッション

「カルティエ」 vs 米百貨店サックス・フィフス・アベニュー 改装に伴う移設問題で訴訟合戦に

 「カルティエ(CARTIER)」は3日、米百貨店のサックス・フィフス・アベニュー(SAKS FIFTH AVENUE以下、サックス)を相手取り、マンハッタン旗艦店のリモデルに伴う「カルティエ」の売り場移設は損害を与えるとして4000万ドル(約45億2000万円)相当の損害賠償請求などを日本の地裁にあたるニューヨーク州最高裁判所に申し立てた。これに対してサックスは5日、「カルティエ」が立ち退かないことで生じた5500万ドル(約62億1500万円)相当の損害賠償を求めて反訴した。

 サックスは2億5000万ドル(約282億5000万円)をかけてグラウンドフロア(1階)にあるファインジュエリーの売り場を地下階への移転を目指している。金庫を意味する“ザ・ボルト(THE VAULT)”と名付けたフロアは2019年にオープン予定。“ザ・ボルト”とメーンフロア、メーンフロアとその上階にあるビューティのフロアをつなぐエスカレーターを新規に建設中だ。

 「カルティエ」は、グラウンドフロアという立地を重要視していることから地下階への移設を拒否している。16年10月に5年間のリース契約を更新した理由も、現在の場所が店内の“特別に選ばれた場所”で、トラフィックの量やセキュリティ、物流、ブランドの存在感含むビジビリティーなどを総合して考えた時に最適な場所であり、今後フロアを改装しても「カルティエ」の立地は変わらないとサックスの幹部に繰り返し言われていたという。また、訴状によると「サックスの要求は『カルティエ』が現在の場所で営業する権利を侵害し、信義則と公平性に違反している」と主張する。

 「カルティエ」が繰り返し移設要求を拒否したところ、移設に応じなければ10月13日までに退去するよう記載された警告書が届いたという。「カルティエ」は損害賠償請求と合わせて、この警告書の効力を否定するよう裁判所に求めている。

 これに対してサックスは、両社が結んだ契約には、サックスの店舗計画を遂行するための契約解除規定が含まれていると主張。現在「カルティエ」がある場所には、ラグジュアリーハンドバッグブランドが入る予定で、「カルティエ」が立ち退かないことでニューヨーク・ファッション・ウイーク中(9月5~12日)に完成する予定だったグラウンドフロアの改装に遅れが生じ、これに伴うコストの増加と販売機会の損失が発生したと主張する。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。