女優の柴咲コウが自身初のアパレルブランド「ミヴァコンス(MES VACANCES)」を始動し、その記者会見を11日に東京・渋谷で行った。同ブランドは“サステイナブルで優しい服”をコンセプトに“地球の循環、生態系に負荷をかけないモノ作り”を目指す。デザインについては“旅をするように暮らす、暮らすように旅をする”イメージを描き、日常着から旅の移動着、旅先のリゾート地で着る服を提案する。例えば、オーガニックコットン94%、ポリエステル6%の人工ファーを用いたコートや、再生セルロース繊維“テンセル”のワンピース、プレオーガニックコットン(オーガニックコットン認定前の無農薬で育てられたコットン)のユーティリティーバッグやウール100%の無縫製ニットドレスなど。人工ファーのほとんどはポリエステル100%だが、できる限りオーガニックコットンに置き換えることに挑戦した。無縫製ニットも1本の糸から編み上げるため、無駄が出ない。テンセルは、しわになりにくく落ち感のある扱いやすい素材であり、生分解性(土に還る)性質も持つ。価格帯はコートが6万円、ワンピースが3万5000円、シャツが2万7000円、ニットが2万5000円、カットソーが1万1000円、インナーウエアが1万1000円。19日からオンラインで販売をスタートする他、東京・神宮前のセレクトショップ、カーサフライン(CASA FLINE)で10月25日~11月4日にポップアップストアを開く。今後は卸しも行う意向だ。
ブランド運営は、柴咲が社長を務める2016年設立のレトロワグラースが行う。「生活の基本である『衣』『食』『住』をベースに心も身体も美しく暮らすための今、そして未来の幸せを増やすために何ができるかを考え発信する」ことを目指し、すでに化学調味料不使用のレトルト食品の販売をスタートしている。
会社を立ち上げた理由について柴咲は「消費者として矛盾を抱えながら生きていると感じている。あれが欲しい、これが食べたい、こんな家に住みたいなどと思いながらも、これを続けていくと地球はどうなるんだろう?という罪悪感のようなものを感じていた。一方で消費活動をマイナスに捉えると経済は滞る――そうした矛盾を一つ一つポジティブに転換できればと思い、モノ作りに携わりたいとプロジェクトをスタートした」と説明する。また、柴咲が19歳の時に乳がんで亡くなった母親についても触れた。「大きなきっかけだった。病気の家族を抱えると、何が悪かったのか、何が原因で病気になったのかと考える。衣食住を見直し、食が原因だったのではないかとも考えた」。
アパレルブランドに関しては「環境意識が高くファッション志向が強い働く女性に向けて提案した。さまざまな矛盾に対峙して解決していきたい。また、環境負荷ゼロを目指したモノ作りをしたい」と力強く語った。