森川マサノリの「クリスチャン ダダ(CHRISTIAN DADA以下、ダダ)」と山岸慎平の「ベッドフォード(BED J.W. FORD)」は10月17日、アマゾン ファッションによるプログラム「アット トウキョウ(AT TOKYO)」のイベントとして東京・渋谷で合同ショーを行なった。
立体駐車場という構造を生かし、ランウエイは4階と5階の2フロアを使用。本番前に森川デザイナーが「ルールをとっぱらって全部ぐちゃぐちゃにしてしまえというショーにしたい」と語っていた通り、各階からそれぞれのコレクションをまとったモデルが登場し、ランウエイの途中でランダムに交差する演出だ。「ダダ」はシャツを大胆に再構築してカルチャー的なプリントを配したウィメンズ21体を、「ベッドフォード」は6月のピッティ・イマージネ・ウオモで見せたメンズ18体をそれぞれ披露した。異なる世代やお互いから受けた刺激に対する答えを示したいという思いから、合同ショーは“RE:ACTION”と名付けられた。ショーのために製作したコラボレーションアイテムには、同タイトルや両ブランド名を融合したロゴなど、森川デザイナーが手掛けたグラフィックがあしらわれた。
両者のクリエイションは相反する。「ダダ」は常にクレバーで、自身のルーツやテクニックを巧みなバランス感覚でアイテムに落とし込む。対する「ベッドフォード」はデザイナーの感性や直感に正直であり、感情をむき出しにした大胆さが出始めてきた。それぞれの性格も違う。属するコミュニティーも違う。しかし、共通しているのは「ファッションで世界と勝負がしたい」という強い意志。彼らはその一歩を踏み出したからこそ、今回の舞台にたどり着いたことを証明した。「ダダ」と「ベッドフォード」は広い海外ではまだまだ挑戦者であり、異端の存在。しかし勇気を持って世界へと踏み出した両者のアクションが新たなリアクションを生み出し、今後の日本のファッション業界を動かす大きな波へとなっていくだろう。
今回の「アマゾン ファッション ウィーク東京(Amazon Fashion Week TOKYO)」に参加しているデザイナーの数人は「将来は海外でショーがしたい」と語っていた。同じ思いをもつデザイナーは、きっと他にも大勢いる。「ダダ」と「ベッドフォード」の強い意思は、彼らに届いただろうか。