三越日本橋本店は23日夜、あすの第1期リニューアルオープンに先駆けて店内を関係者に公開した。特徴は売り場だけでなく“売り方”の改革に力を入れていること。ブランドや商品の垣根を超えて一人一人を接客するコンシェルジュを約90人配置。デジタルによる顧客データの一括管理に基づくきめ細かいサービスによって顧客満足度を高め、ECと差別化した百貨店ならではの買い物体験を提供する。
新しい売り方の起点になるのが、各フロアに設けられたパーソナルショッピングデスクだ。例えば3階の婦人服フロアの約120平方メートルのパーソナルショッピングデスクは、顧客の要望を聞くカウンター、カラー診断や骨格診断など専門スタッフが接客するスペース、情報を発信する大型のタッチパネルなどで構成されている。コンシェルジュがブランドや服、バッグ、シューズ、アクセサリーなどの横断型の提案を行う。
さらに顧客のリクエスト次第では食やリビングなどの他のフロアのコンシェルジュとも連携し、買い回りを促す。コンシェルジュは専用のスマートフォンのチャット機能を使って、顧客の要望を他のフロアのコンシェルジュに素早く伝える。同店の営業推進担当者は「1つのフロアで客単価を上げるのは限界がある。フロアを超えて買い回っていただくことで、百貨店の品そろえのポテンシャルを最大化できる」と解説する。実際に春からの試験運用では、コンシェルジュが接客した顧客の客単価は7倍に跳ね上がっているという。
24日のリニューアルオープンと同時に、コンシェルジュのサービスなどを予約する専用ウェブサイトを開く。ハウスカードであるMIカードの会員やEC利用者とも連携し、購買履歴などのデータを一元管理することで、“顧客カルテ”を作り、データに基づいたきめ細かい提案を行う。
また5階フロアの奥には優良顧客のための専用ラウンジを設けた。外商顧客のラウンジとは別に、年間300万円以上の買い物をする優良顧客を特別な空間とサービスでもてなす。