中国最大手EC企業のアリババ(ALIBABA)のダニエル・チャン(Daniel Zhang)最高経営責任者(CEO)が11月6日、上海で開催されている第1回中国国際輸入博覧会(China International Import Expo 以下、CIIE)で、今後5年間で世界120以上の国と地域から2000億ドル(約22兆6000億円)の製品を輸入する計画を発表した。
チャンCEOは、「長期成長戦略の中でもグローバリゼーションを最重視している。当社は、世界各国との取引が可能な、グローバル化されたデジタルエコノミーを実現するべく将来の販売インフラを構築している。アリババの革新的なテクノロジーと強固なエコシステムを活用することで、グローバルな貿易をより包括的なものにし、『あらゆるビジネスの可能性を広げる力になる(To make it easy to do business anywhere)』というミッションの実現に向けて尽力したい」とコメントした。アリババは2019~23年に、特にドイツ、日本、オーストラリア、アメリカ、韓国からの輸入を強化するという。
5日に行われたCIIEの開会式で習近平国家主席は、時期未定としながらも輸入関税の引き下げと市場アクセスの拡大を約束した。また同パネルにおいて、アリババのジャック・マー(Jack Ma)共同創業者兼会長は「貿易戦争は世界一愚かしいこと」という考えを示した。「貿易は平和のため、コミュニケーションのために行うもの。誰も自由貿易を止めることはできない」。
米中間の貿易戦争の影響は主な指標にも表れてきている。18年の9カ月間における中国の経済成長率は6.5%と、09年以来の低さを記録。同様に、前年の小売り売上高は10.4%増だったが、今年は9.3%増にとどまっている。
4日に閉会した中国最大の見本市である「広州交易会(Canton Fair)」でも、中国最大の輸出先であるアメリカ向けの発注が昨年から30.3%減の28億ドル(約3160億円)となり、見本市全体での取引高も1%減の299億ドル(約3兆3800億円)となった。
デロイト・チャイナ(DELOITTE CHINA)、中国国際商会(CHINA CHAMBER OF INTERNATIONAL COMMERCE)、およびアリ・リサーチ(ALIRESEARCH)の共同調査によれば、中国の越境EC市場は大きく成長しており、ECの売り上げ全体に対する輸入品の割合も、14年は1.6%だったが17年には10.2%に伸びている。なお、アリババの越境EC専門サイトである「Tモールグローバル(Tmall Global)」の訪問者数は、同期間中に10倍に増加している。