ファッション

“スニーカー版商品取引市場”が日本でも誕生 目指すは「モノの株式化」

 株式市場と同様の仕組みを採用した米国発のオンライン商品取引所のストックX(StockX)。CtoCの取引において多発する偽物(フェイク)問題を商品の鑑定で解消し、アイテムのリアルタイムの価格や出来高、過去の販売データなどを出品者と購入者に提供して両者を結び付ける。そんなストックXの日本版とも言えるモノカブは、「モノの株式化」をテーマにスタートしたスニーカー特化型の売買サイトだ。同サービスを運営するブライノの濱田航平・代表にサービスをローンチした経緯や今後を聞いた。

WWD:モノカブを始めた経緯は?

濱田航平・代表(以下、濱田):証券会社で1年半ほど勤務して、何か新しいことをしたいなと思ったときに「モノの株式化」が頭に浮かび、そのタイミングでストックXを見つけたのがきっかけです。昨年の12月に会社を設立し、サービスのプロトタイプを作ったり、資金調達をしたりして、5月28日にサービスをローンチしました。

WWD:仕組みとしては、ストックXとほぼ同じ?

濱田:基本は同じです。ストックXが50億円の資金調達に成功した直後に、実際に彼らに話を聞きました。メルカリやフリルといったフリマアプリと違うのは、株式市場のように入札形式な点や、商品は全て新品のみで、写真は撮らなくてもいい点などです。

WWD:中古品を取り扱うことは考えていない?

濱田:考えていないですね。中古は一点モノになってしまい、株式として扱いづらい。要はストックXになるのか、サンフランシスコ発のスニーカー売買サイトで中古品も扱っているゴート(GOAT)になるのかの2択で、僕は「モノの株式化」を最初に考えたこともあり、前者を選びました。ストックX側も、中古には手を出さないと言っています。もっと商品カテゴリーを増やすことの方が先決ですね。アパレルはもちろんですが、家電なんかもいいんじゃないかなと思っています。

WWD:新品を売る人はどの程度いるのか?

濱田:かなりいますよ。単純に転売したい人と、抽選で買えたけど自分のサイズは買えなかった人の2パターンがいます。後者の場合は、転売して自分のサイズを買うための資金にしようとする人が多いです。

“プレ値”が付くスニーカーは株式として有効?

WWD:スニーカー特化型にした理由は?

濱田:一般的には定価で買うのが当たり前ですが、スニーカーは価格が高騰し、“プレ値”になりやすいからです。特に最近は「ナイキ(NIKE)」とヴァージル(・アブロー、Virgil Abloh)のコラボがプレ値の筆頭ですね。1万7000円のスニーカーが2次流通サイトで5、6万円で取り引きされることがよくあります。ただ、フリマアプリだと利益は出ていても本当は8万円で売れるのに、6万円で売ってしまったり、3万円で買えるものを5万で買ってしまったりと損が発生しやすい。さらに、フェイクが多く出回るようになった今、正規品を売っているのに疑われるなど、不利な状況が発生することもある。株式市場のような仕組みの方がスニーカーの取引はハマると思います。

WWD:商品の鑑定はどのように行っている?

濱田:モノカブでは僕と鑑定士の2人で会社のデータベースをもとに照らし合わせています。モノにもよりますが、大体10分程度で鑑定は終わりますね。データはPKゴッド(PK GOD)というフェイクスニーカーの大手メーカーから集めたり、周りのスニーカーマニアが買った正規品のスニーカーと箱やタグなどの付属品の写真を撮ったりして集めています。正規品と鑑定した商品は、ストックXと同じくモノカブのタグと、あとは簡単な手紙を添えてお客さまに送っています。最近は取引件数も増え、手紙を書くのがキツくなってきたのでやめようかとも思っていますけど……。

WWD:よくあるフェイクの特徴は?

濱田:材質が微妙に違うだけだったり、付属品がそもそも違ったりと多種多様です。最近だと「イージー(YEEZY)」をはじめ巧妙なフェイクが多いので、見分けるポイントもすぐに修正されてしまうことも多いです。特にヴァージルと「ナイキ」のコラボは修正が早いと聞いています。

WWD:現状のサービスの手応えは?

濱田:今のところは順調です。徐々にユーザーも増えてきて、毎日売買は成立しています。初期はローンチすれば人が集まるかな、と淡い期待を持っていて全然ダメだったときもありましたが(笑)。

WWD:ユーザーが増えたきっかけはある?

濱田:大きなきっかけではないのですが、ツイッターの存在が大きかったです。ツイッター上でスニーカーを売買している、少し有名な方がモノカブで取引を行ってくれて、「ここで売れる」と宣伝してくれ、徐々にコミュニティー化していきました。システムを作ることよりも、コミュニティーを広げていくことの方が苦労しましたね。

WWD:今後、モノカブをどうしていきたい?

濱田:実際にスタートしてから何もメディアなどに打ち出していないので、まずはメディアへ打ち出していきます。そして来年をめどに、スニーカーの国内ナンバーワンのCtoCプラットフォームサービスにしようと考えています。個人的に統計を取った形だと、現在ラクマがシェア40%ほどで1位、次いでヤフオク、メルカリとなっている。モノカブとしてはシェアの半分ほどを狙っていきたいですね。ゆくゆくはスニーカー以外にも取り扱う価格のカテゴリーを増やして、価格に対してフェアにトレードできるサービスにしていきたいです。

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