ファッション

ソニーもほれ込んだオーダーメードサプリメントサーバー「ヘルスサーバー」が目指す「無意識に健康になれる」世界

 健康でありたい、美しくなりたいというのは誰もが持つ願望だろう。近年は運動で体を作るジムビューティや、グルテンフリーなどのインナービューティが注目を浴びている。しかし、どれだけの人が運動や食生活の管理を徹底して続けられるだろう?ドリコスのオーダーメードサプリメントサーバー「ヘルスサーバー(healthServer)」はその“疑問”こそが原点だ。

 「ヘルスサーバー」は本体のセンサーに両指を触れることで身体データを解析。前後のスケジュールや生活習慣をアプリ内で入力することで、その時に最適な栄養素を自動で提供してくれる。また、サプリは粉状なので水で溶かしても、ドレッシングなど料理に混ぜてもいい。これまで企業やコワーキングスペース向けに提供していたが、11月27日から個人販売の予約受付を開始した。ソニーのクラウドファンディングとECのサービスを兼ね備えたサイト「ファースト・フライト(First Flight)」の他、二子玉川 蔦屋家電、そごう横浜店ビューティフロアに展開する。価格はサーバー本体と基礎栄養素カートリッジで2万9800円だ。

 まったく新しいサプリの提供はどういったメカニズムで行われ、我々の生活をどう変えるのか。竹康宏ドリコス社長に製品について聞いた。

WWD:このサーバーを作った経緯を教えてください。

竹康宏ドリコス社長(以下、竹):健康になるためには健康かどうか知り、改善の方法を取るという2ステップが必要。前者はウエアラブル機器などで盛り上がってきているが、改善の方法を取るのはむずかしい。なるべく普段の生活に溶け込めて、むずかしくない方法で「無意識に健康になる」ものを作りたかった。

WWD:「無意識に健康になる」ためにこのサーバーはどういった役割を果たすのですか?

竹:本体のセンサーに指を当てることで、自律神経のバランスを測って、その時に最適な栄養素を、最適な量でサーブする。本体だけでもサプリをサーブすることはできるが、アプリで仕事がどれだけ忙しかったかなどの活動量データ、食事内容、生活習慣を答えることで、より今の自分に適切なサプリが出てくる。今回アップデートして「仕事の充実」「美容」「食事バランス改善」の3つの大テーマを選べるようにしたので、目的に応じて、人によってサーブする量も変わる。

WWD:つまりパーソナライズなサプリということですね。

竹:そうですね。最初は食事なども入力する必要があるが、不足しがちな栄養素、偏る栄養素などには癖が出やすい。学習していくことですべて記録する必要はなくなってくる。またサプリだけで補うのではなく、学習していくにつれて生活習慣についてアドバイスも表示する。

WWD:その他、サプリをカスタマイズするために必要な要素は?

竹:「無意識に健康になる」サーバーだが、無意識になりすぎると「これを飲んだから健康なのか?」と本当に必要かわからなくなるというジレンマもある。また、サーブしたもので効果を実感できないこともあるだろう。そのため、定期的に簡単な効果実感に関する質問に答えてもらう。一般的にこのビタミンが美容に効く、と言われていても、その人には他の栄養素が必要かもしれない。そうやって情報を足していくことで、本当に実感できるサプリにアップデートしていく。

WWD:すでにサーバーは法人向けに展開しているが、今回クラウドファンディングを利用したのはなぜ?

竹:「ファースト・フライト」は元々ソニーの社内新規事業を起こすためのものだったが、オープンイノベーションしていこうと方針を新たにしていた。そのタイミングで「ヘルスサーバー」に声をかけていただき、僕たちも広報力に課題意識を持っていたので話がまとまった。クラウドファンディングでは新しい美容向けのサプリカートリッジの開発のため300万円を目標額にしており、達成したら本体と基礎栄養素カートリッジに加え、美容向けのカートリッジを特典として送る予定だ。

WWD:美容向けにはどのようにサプリをカスタマイズする?

竹:なりたい自分を細かく選べるようにした。一言に「美しさ」と言っても、毛穴のない陶器肌を指す人もいれば、インナービューティを指す人もいる。これは社内でも意見が分かれた。シワなのか乾燥なのか、取り組みたいポイントを選んでもらう。最近は化粧水を使う男性も多いし、この機能は男性も使うのでは。ガジェットがそもそも男性との親和性が高い。手軽にシワなどの将来的リスクを軽減したい層にも使ってもらいたい。

WWD:ランニングコストはどのくらいかかりますか?

竹:最初は本体とカートリッジセットで2万9800円、その後は1日2〜3回使用して1カ月分のカートリッジをセットで4980円で販売する。ばら売りもする予定だ。また、サブスクリプション(定期配送)で値段を下げるなども検討している。

WWD:どのようなサブスクリプションになる?

竹:前述の通り、このサーバーはどんどん学習していくので、必要になる栄養素をカスタマイズして送る形にしたい。体や肌は季節の影響も受けるし、時期によっても必要な栄養素が変わる。効果実感のアンケートも反映していろいろレコメンドするし、もちろん自分で選ぶこともできるようにする。

WWD:これまでにない新しいサービスだが、今後はどう発展させる?

竹:テーマが今は3つだけだが、トレーニングなど新しいものをアップデートしていきたい。カートリッジも今は基礎栄養素だけだが、プロテインに合わせて摂りたいアミノ酸だったり、どんどん増やしていきたいと思っている。おじいちゃんおばあちゃんからお母さん、子どもまでに健康で美しくなるサポートをするサーバーとして進化させる。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。