八木通商傘下の英国ブランド「J&M デヴィッドソン(J&M DAVIDSON)」が、2019-20年秋冬シーズンからクリエイティブ・ディレクターに英国人デザイナーのケイティ・ヒリヤー(Katie Hillier)を起用する。ブランドの創設者でもあるジョン・デヴィッドソン(John Davidson)とモニク・デヴィッドソン(Monique Davidson)夫妻は引退する。
英国出身のヒリヤーは、「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」や「ロエベ(LOEWE)」などでキャリアを積んだ後、10年にジュエリーブランド「ヒリヤー(HILLIER)」を立ち上げ、13年から2年間「マーク BY マーク ジェイコブス(MARC BY MARC JACOBS)」のクリエイティブ・ディレクターを務めた。15年にルエラ・バートリー(Luella Bartley)とともに「ヒリヤー バートリー(HILLIER BARTLEY)」をスタートしている。女性心をつかむキャッチーなデザインを得意として、「サカイ(SACAI)」が16年にスタートしたバッグラインも手掛けている。
「上質なコレクションではあるが世界に広げられることができていないという悩みがあった」と話す髙橋慎吾・八木通商執行役員兼J&M デヴィッドソン リミテッドUK社長は、「市場を広げるためにグローバルな認知度があり、グローバルに通用するコレクションを作れる人材を探した」とヒリヤーの起用理由を説明する。「ケイティは『J&M デヴィッドソン』を“Hidden gem(隠れた宝石)”と形容した。当社もこのブランドは絶対に輝けるブランドだという思いがあり、話が合った」。
ヒリヤーが手掛けたデビューコレクションは、ベルトブランドとして誕生した「J&M デヴィッドソン」のDNAからインスパイアされ、ストラップやディテールにベルトをあしらったバッグや、ブランドのアイコンとして有名な“カーニバル”を再解釈した“フリンジ カーニバル”など、バッグとSLGで約20型を展開する。価格帯は現行のコレクションから大きく変わることはなく、12万~16万円くらいのスロットにはまるようなポートフォリオで構成する。カラーパレットにはこれまであまり見られなかったパステルカラーを採用した。新しさもある中で、ブランドの特徴である“主張しすぎずタイムレスなデザイン”は維持する。「われわれのブランドはお客さまの毎日をよりラグジュアリーで豊かなものにするためのものという意味で“Everyday luxury(毎日使えるラグジュアリー)”を掲げ、“アクセサリーはあくまでお客さまをアクセサライズする(飾る)もの”というのがブランドの基本的な考え方。クリエイティブな部分は基本的にケイティに一任しているが、この点は重視した」と高橋社長は語る。
「J&M デヴィッドソン」は、デヴィッドソン夫妻が1984年に創業。2006年に八木通商が独占輸入販売権を取得。13年に八木通商が英国のJ&M デヴィッドソン社の株式の76%を取得して傘下に収め、17年に全株式を取得し完全子会社化した。同社によると、17年度の売上高はeコマースを含み前年比150%、既存店ベースで同130%。売り上げ全体に占めるアイテム構成比はバッグとスモールレザーグッズ80%、レディートゥウエア15%、靴5%となっている。