デザイナーのジョー・ケイスリー・ヘイフォード(Joe Casely-Hayford)が2019年1月3日、がんのため死去した。62歳だった。
ジョーは1984年、自身の名前を冠したブランド「ジョー ケイスリー ヘイフォード」を設立。アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)やフセイン・チャラヤン(Hussein Chalayan)、ジュリアン・マクドナルド(Julien Macdonald)が登場する前のロンドンで、彫刻的なフォーマルウエアを軸にメンズウエアの一時代を築いた、黒人デザイナーの先駆的存在だった。早くから音楽業界と進行を深め、U2やベティー・ブー(Betty Boo)、ザ・クラッシュ(The Clash)らに衣装を提供。第二次世界大戦で用いられたテントからコレクションウエアを生み出すなど、サステイナビリティーの先駆けでもあった。
その後は一時低迷したが、2005〜08年の「ギーブス&ホークス(GIEVES & HAWKES)」のクリエイティブ・ディレクターを経て、息子のチャーリー・ケイスリー・ヘイフォード(Charlie Casely-Hayford)とともに「ケイスリー ヘイフォード」を設立。「ジョー ケイスリー ヘイフォード」のアーカイブをアップデートさせるとともに、ジャケットとシャツのフェイクレイヤード、伝統的なツイードを用いたジョギングパンツなど、ストリートのエッセンスを加えるアプローチでフォーマルをモダンに仕上げた。
18年10月には、ロンドンのメリルボーン地区にオーダースーツを核とする1号店をオープン。一方、ジョーの病のため、19年春夏コレクションは発表していなかった。
「ケイスリー ヘイフォード」は、三喜商事がディストリビューターを務めている。