百貨店大手5社の1月度の売上高(既存店ベース)は、中国の電子商務法施行の影響や衣料品のクリアランスセールの不振によって全社が減収だった。三越伊勢丹が前年同月比3.8%減、高島屋が同2.8%減、そごう・西武が同4.0%減、大丸松坂屋百貨店が同2.1%減、阪急阪神百貨店が同2.9%減。長らく好調が続いていた阪急本店(阪急うめだ本店、阪急メンズ大阪)も26カ月ぶりに実績を下回った。衣料品の低迷だけでなく、これまで伸び続けてきたインバウンド(訪日客)の購買が失速している。
免税売上高は三越伊勢丹の基幹3店舗(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)で10.3%減、高島屋が15.1%減、そごう・西武が約1割減、大丸松坂屋が1%減、阪急阪神百貨店が7.1%減と2ケタ減収が目立った。円高の影響もあるが、1月から中国で始まった電子商務法が痛手になった。ネット通販の販売者に登録と納税を義務付け、個人による越境ECを可視化する目的で導入された規制である。「客数は7%増えたのに、客単価が7%落ちた」(大丸松坂屋)、「中国のお客さまのまとめ買いが減り、今月に入って客単価がだいぶ落ちている」(高島屋)といった現象が見られるようになった。
一方、衣料品は「クリアランスが響かなくなっている」と各社は口をそろえ、主力の婦人服は4〜7%の減収が多い。今年は正月の初売りだけでなく、日本百貨店協会と日本アパレル・ファッション産業協会が音頭をとり、25日からプレミアムウインターバザールと銘打ったクリアランスセールの第2弾を各店で実施したが、それでも効果は限定的に終わった。「特に前半に勢いがなかった」(高島屋)、「プロパー(正価)品は善戦したが、セール品の不振をカバーするほどではなかった」(三越伊勢丹)、「月前半のクリアランスの集客力が低下した」(阪急阪神百貨店)といった声が聞かれ、消費者がセールになびかない傾向がいっそう強まっている。