プラダ(PRADA)は、多様性のための社内組織「多様性とインクルージョンに関する諮問委員会(DIVERSITY AND INCLUSION ADVISORY COUNCIL以下、諮問委員会)」を設置し、共同会長としてアーティストで活動家のシアスター・ゲーツ(Theaster Gates)と作家・映画監督・プロデューサーのエイヴァ・デュヴァーネイ(Ava DuVernay)を任命した。同社は2018年12月、“プラダマリア(PRADAMALIA)”シリーズの黒いサルのようなキャラクターが黒人への侮辱だとして批判され、製品の販売を中止して謝罪すると共に多様性やインクルーシブであることを推進する委員会の設置を約束していた。
ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)=プラダ グループ共同最高経営責任者(CEO)とその夫であるパトリツィオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)同共同CEOは、「当社はあらゆる部署で多様な人材を雇用し、育成するよう努めている。業界内で有色人種の方々の声をしっかりと取り上げるだけではなく、現実の世界をファッション業界に反映させるべく支援していきたい。この重要な取り組みに関して、長年の貢献者であるシアスター・ゲーツとエイヴァ・デュヴァーネイと協働することができて大変うれしく思っている。諮問委員会と共に学び、企業としてだけではなく、個人としても成長できることを楽しみにしている」と声明を発表した。
ゲーツは以前からプラダと協働しており、16年7月7日~9月25日に個展“トゥルー・バリュー(TRUE VALUE)”をプラダ財団の施設で開催した。また18年9月20日~19年1月14日にはゲーツがキュレーターを務めた展覧会“ザ・ブラック・イメージ・コーポレーション(THE BLACK IMAGE CORPORATION)”を同施設で開いている。ゲーツは同社について、「僕の野心的なアート・プロジェクトの支援者だ」と評価している。
デュヴァーネイは、黒人の選挙権を求めてキング牧師と市民たちがアラバマ州セルマでデモ行進をして弾圧された歴史的事件を描き、映画祭などで高く評価された映画「グローリー/明日への行進(原題:SELMA)」の監督を務めるなど、アフリカ系アメリカ人の女性映画監督の代表的な存在だ。13年に「ミュウミュウ(MIU MIU)」が発表した短編映画の監督も務めており、18年の第71回カンヌ国際映画祭のレッドカーペットには「プラダ」のドレスを着て登場した。
諮問委員会は、サステイナビリティーに関する活動などを行っているプラダ グループのCSR(企業の社会的責任)部門とも協働し、職場における多様性やインクルージョンの向上を目指すミーティングを開催することも計画している。なお、プラダと同様に“黒人差別”と物議を醸したグッチ(GUCCI)も、多様性とインクルージョンを推進するプログラムを始動させている。