ワールドは25日、米国シリコンバレー発のオーダーシャツ専門ECサイト「オリジナルスティッチ(ORIGINAL STITCH)」を運営するオリジナル社を買収すると発表した。6.8%だった持ち株比率を60%まで引き上げ、連結子会社化する。取得株式価格は22億円。株式譲渡は4月1日付になる。
オリジナル社は米国における11の特許技術を駆使した独自の「カスタマイズ・プラットフォーム」により、シャツを10億通りのデザインにカスタムオーダーできるECサイト「オリジナルスティッチ」を2014年から運営。百貨店や専門店などに向けてこのプラットフォームを提供するBtoB事業も展開する。昨年11月には、全身写真を2枚撮影して身長や体重などを入力するだけで最適な衣服のサイズを割り出せるアプリケーション「ボディグラム」をローンチした。18年12月期の売上高は193万ドル(約2億1200万円)。ジン・コー(Jin Koh)創業者兼最高経営責任者(CEO)は「現在はビジネスゾーンにおけるシャツのみの展開だが、将来的にはスーツやネクタイ、カバンなどデイリーアイテムの展開を考えている」とし、「現在は米国、日本のみだが、中国にも切り込んでいく」と成長を目論む。
ワールドは昨年12月、オーダースーツの新業態「アンビルト タケオキクチ(UNBUILT TAKEO KIKUCHI、以下アンビルト)」を立ち上げ、DtoC(ダイレクト トゥ コンシューマー)事業に乗り出した。今回の買収の目下の狙いは、同社の生産背景や物流にオリジナル社のカスタマイズのノウハウを結び付け、DtoC戦略をさらに加速させることだ。上山健二社長は加えて、「自分にあったサイズの既製品をECで安心して手に入れられる仕組み作りも重要。ワールドのEC全般にもオリジナル社の技術を導入する。ECの課題である成約率の向上や返品率の抑制に大きく貢献するはずだ」と期待を寄せる。
雑貨などの非アパレルやBtoB分野における活用にも期待を掛ける。上山社長は「当社がこれまで柱にしてきたアパレル分野と、そうでない分野の比率を将来的には5:5にする」とし、「例えば寝具ならば、個人に最適なサイズのベッドや布団を手軽にオーダーメイドできれば需要はあるだろう」とさまざまな可能性を模索する。
また、ワールドの50ブランド・2400店舗に上るリアル店舗網を活用したデータの蓄積で「ボディグラム」の精度を高め、他社にシステムを提供するBtoB事業の拡大も視野に入れる。今後はアパレルカスタマイゼーションのプラットフォーマーとして存在感を高めていく考えだ。