J.フロント リテイリングの2019年2月期連結業績(国際会計基準)は、売上高にあたる売上収益が前期比2.1%減の4598億円、営業利益が同17.5%減の408億円だった。主力の百貨店事業を中心に「インバウンド(海外観光客)売り上げと国内富裕層の消費は引き続き好調だった」(山本良一社長)が、台風や地震といった自然災害による営業時間短縮や、暖冬による衣料品不振が減収につながった。減益は、前期に不動産売却益を計上していたことの反動や、傘下のパルコが宇都宮店、熊本店の閉店を決めたことによる事業整理損による。
百貨店事業の売上収益は同0.4%増の2754億円、営業利益は同9.2%減の241億円だった。大丸松坂屋百貨店の免税売上高は同22.9%増の588億円となり、全体をけん引。売り上げ全体に占める免税売り上げ比率は8.9%だった。基幹9店での外商売上高は同1.8%増と、富裕層消費も堅調だ。新規で口座開拓した外商顧客は1万5049件で、新規口座による売り上げは119億円だった。
百貨店事業で「最も問題視している」のが、特選を除くボリュームゾーンのアパレルだ。婦人服売上高は同3%減となり、引き続き婦人服売り場面積は縮小する。大丸札幌店では18年4月に、婦人服売り場を縮小して雑貨や食を組み合わせた売り場「キキヨコチョ」を開設したが、「同面積で比較して1.5倍以上の売り上げで推移している」。これを受け、19年3月には松坂屋名古屋店にも「キキヨコチョ」を開設するなど、各店に同手法を導入する考え。
20年2月期は売上収益で前期比8.7%増の5000億円、営業利益で同18.6%増の485億円を見込む。大丸松坂屋の免税売上高予想は同8.7%増の640億円だ。
売上収益のうち、主に百貨店事業の消化仕入れ取引額を総額にし、パルコ事業の純額取り引きをテナント取扱高の総額に置き換えた総額売上高は、19年2月期で前期比1.2%減の1兆1251億円だった。