カネボウ化粧品美容研究所が、平成のビューティトレンドの変化に関するレポートを発表した。同研究所は、1998年から都内の複数の地点で女性のトレンドに関する定点観測を実施している。今回のレポートは、1999年2月と2019年1~2月に渋谷と丸の内で女性を対象に行った調査をもとに、エリア別にメイクトレンドを比較したもの。
“ギャル文化”が誕生した1999年の渋谷は、日焼けした肌にハイライトを効かせ、角度のついた細い眉やブルーやシルバーの目元、血色感のない口元など当時カリスマと呼ばれた歌姫のメイクをまねた女性が続出。近年は韓国のドラマやアイドルなど韓国カルチャーに影響を受けていると思われる女性が多く見られる。特徴は、白く仕上げた肌や眉尻の下がったストレートの眉、上下にオレンジや赤系のアイシャドウをほどこした目元に、ややマットなダークトーンのローズ系の赤いリップを合わせる女性だ。どちらの時代も、“理想”や“憧れ”の存在に近づきたいという思いを反映したメイクのようだ。
渋谷に比べると年齢層が高く落ち着いた雰囲気の丸の内は、1999年当時、金融系企業が多かったこともあり、マットな肌や角度のついた細い眉、パープルのアイシャドウ、ローズ系の口元などエレガントできちんとした印象の隙のないメイクの女性が目立った。現在は、ナチュラルな肌に自然な太さのストレートの眉、ピンクベージュ系の目元や口元でメイク自体は強くないものの、アイラインやマスカラを丁寧につけることでナチュラルでありながらきちんとした印象の女性が特徴だった。
同研究所は今後日本での開催を控える東京オリンピックなど他国の文化に触れる機会が日本人のメイクにも影響を与えるとし、メイクも国籍や性別を超えてさらにグローバル化が進むと考察する。
カネボウ化粧品美容研究所は“美容を科学する”をモットーに1962年に設立された。メイク文化の研究やトレンド情報の収集、分析などを行い、今後の傾向を予測するとともに商品や技術開発を行っている。またカネボウの美容部員向け教育にも携わるなど活動は多岐にわたる。