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いよいよ販売へ、ゴールドウインが“人工クモの糸”を使用した“ムーンパーカ”の年内発売を正式発表

 ゴールドウインは、2015年からベンチャー企業のスパイバーと共同開発を続けている人工クモの糸素材“クモノス(QMONOS)”を使用したダウンジャケット“ムーンパーカ(MOON PARKA)”を年内に発売すると、14日に行われた2019年3月期決算説明会で発表した。

 “クモノス”とはクモの糸に着想した、原料に石油を使わない人工合成タンパク質素材で、非常に優れた耐久性や伸縮性を持ちながら再資源化も可能という、素材業界にとって50年ぶりの大発明といわれる画期的な素材だ。

 “ムーンパーカ”は、「ザ・ノース・フェイス(THE NORCE FACE)」のダウンジャケット“アンタークティカ・パーカ(ANTARCTICA PARKA)”をベースに、この“クモノス”を表地と刺しゅう部分に使用し、商品化を進めていたもの。開発に着手した15年の翌年には、世界で初めて実際の工業ラインで生産された人工タンパク質素材を使った衣服としてプロトタイプの開発に成功し、16年内の発売を予定していたが、品質安定性向上や量産体制の整備問題などから、製品化が17年以降に延期されていた。しかし、耐水性を改善した新規タンパク質素材の開発によって問題だった品質安定性が向上し、19年内の発売が決定した。

 人工クモの糸素材を製造する会社としてはスパイバーのほかに、アメリカ・サンフランシスコ創業のスタートアップ企業、ボルトスレッズ(Bolt Threads)が知られる。同社はオリジナルのクモの糸素材“マイクロシルク(MICROSILK)”でこれまでに2億ドル(約226億円)以上の資金調達に成功しており、すでに「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」とパートナーシップを締結して共同開発したウエアをパリコレで発表している。

 今回の“ムーンパーカ”の発売によって、日米における“人工クモの糸”の商品開発競争にいっそう拍車が掛かりそうだ。

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