「サカイ(SACAI)」は1月18日、人工クモの糸で知られるスタートアップ企業のスパイバー(SPIBER)とコラボレーションしたTシャツを販売する。すでに20年春夏パリ・メンズ・ファッション・ウイークのランウエイで2型お披露目されており、ユニセックスで2型、黒とグレーを用意し直営店と一部の「サカイ」の取り扱い店で販売する予定だ。数量限定で価格は3万9000円。グレーは青山店限定で販売する。
スパイバーには「サカイ」のディレクションを手掛ける源馬大輔氏が商品開発のアドバイザーとして関わっており、かねてから協業は噂されていた。
このTシャツは、スパイバーが開発した合成タンパク質“ブリュードプロテイン”とコットンを17.5 : 82.5の比率で配合して製造する。これは先日ゴールドウインとスパイバーの協業ブランド「ザ・ノースフェイス エスピードット(THE NORTH FACE SP.)」で発表されたTシャツと同じ比率でもあり、同ブランドは2万5000円、250枚限定で販売する。
スパイバーは、遺伝子レベルで設計した合成タンパク質を原料とする素材開発の分野で、世界を見渡しても突出する存在だ。すでに耐水性の強い繊維やベビーカシミヤに近い原毛、人工毛髪などを開発済みで、遺伝子合成や紡糸、発酵などで188の特許を出願している。また今年、21年から稼働予定のタイのプラント工場の建設を開始するなど動きが活発化している。
実は「サカイ」は19-20年秋冬向けに、スパイバーとのコラボアイテムの販売の計画があったというが、20年春夏が初のコラボレーションになる。その背景には、“ブリュードプロテイン”量産に対応するプラントがないことがあった。21年にプラントが完成すれば、“ブリュードプロテイン”を用いたさまざまな製品を手にする機会が増え、現在高額の価格も、もう少し抑えたものが期待できる。