1980年代のニュー・ウェイブを代表する英ロックバンド、ザ・キュアーの写真展「RICHARD BELLIA 写真展“THE CURE”」が9月8日まで東京・表参道のアニエスベー ギャラリー ブティック(AGNES B. Galerie Boutique)で開催されている。1980年から同バンドのライブツアーやテレビ収録、レコーディングなどに同行してきたフランス人写真家リシャール・ベリアが約40年間撮りためてきた中から、個性的なヘアスタイルとメイクがチャームポイントのフロントマンのロバート・スミス(Robert Smith)を中心に、ベリアがフィルムカメラで捉えた写真を展示している。
ザ・キュアーは今年、6年ぶりに野外音楽フェス「フジロックフェスティバル ’19(FUJI ROCK FESTIVAL’19)」に出演することが決まっており、最終日の7月28日にヘッドライナーを務める予定だ。同展の写真家ベリアも同行してパフォーマンスを記録するという。
24日に行われた同展のオープニングレセプションで初来日したべリアは、来場者に写真の説明をしたり、ランダムに選んだ来場者を被写体にゲリラシューティングをしたりと、コミュニケーションを楽しんでいた。ベリアにザ・キュアーのこと、ミュージシャン撮影の極意などを尋ねた。
WWD:今回の写真展について教えてほしい。
リシャール・ベリア(以下、ベリア):1980年からザ・キュアーをアナログ撮影にこだわってとらえてきた。バンドの魅力とフィルムカメラの魔法が合わさり、かっこいいイメージを生み出してきたと自負している。こうして日本に作品を持ってこれたことは本当にうれしい。「アニエスベー」とは2009年の夏からパリ、ロンドン、ニューヨークで一緒に写真展を開いてきた。そして今回が初めて東京での開催で、現在パリでも同じ内容で写真展を開催中だ。
WWD:ザ・キュアーの撮影はどのように行なっているのか?
ベリア:彼らの写真を撮るときは短時間にパシャパシャっとシャッターを切って終了する。ほんの2分間ぐらいだから、彼らは僕のことをジャマに思うこともない。そこにいたと思ったら知らぬ間に消えていて、2年後のライブで再開する感じだ(笑)。
WWD:ザ・キュアー以外にも多くのミュージシャンを撮影してきているが、アーティストを撮影するコツとは?
ベリア:ポートレート写真家を目指している人にアドバイスするならば、被写体の目力をとらえることを大事にしてほしいと伝えたい。重要なのはモデルの目の迫力だ。何度もシャッターを切りするぎるとモデルは疲れてくるし、いい写真は撮れない。だから私は短時間で集中して、表情の力強さを失う前に撮影を終わらせる。また、モデルに話をかけることもとても大切だ。どんな表情、ポーズがいいのか、悪いのか率直に伝えることでいい一枚に導いていける。
WWD:ロバート・スミスはどんな人?
ベリア:ザ・キュアーのメンバーは皆心やさしい人たちだが、特にロバートは正真正銘のナイスガイだ。バンドの指揮者として方向性を決めるのも彼で、強い責任感がある。今も私がバンド宛てにメールを送るとロバート本人から返信が来るんだ。今年の「フジロック」も「同行したい」と連絡したらすぐにロバートが返事をくれた。
WWD:ザ・キュアーの好きな曲は?
ベリア:ありすぎて選べない。一つを答えると、ほかのものを挙げ忘れてしまうので言わないでおく。
■RICHARD BELLIA 写真展“THE CURE”
会期:7月25日〜9月8日
時間:13:30〜18:30
休廊日:月曜日
場所:アニエスベー ギャラリー ブティック
住所:東京都港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山2階