「エルメス(HERMES)」は11月1日から17日まで、東京・六本木の六本木ヒルズノースタワー1、2階で、展覧会「夢のかたち Hermes Bespoke Object」を開催します。展覧会名に“Bespoke”と入っているころからお気づきの方も多いかもしれませんが、この展示では、「エルメス」の顧客が同ブランドに特別にオーダーしたアイテムや、ブティックスタッフのアイデアを具現化した商品を集めています。そう聞いて「人気バッグの“ケリー”や“バーキン”の素材別注や色別注が展示してあるのかな?」と思ったそこのアナタ!甘いです。「よもやこんなオーダーが可能だなんて……!」「『エルメス』って、こんなオーダーも叶えてくれるんだ!」というサプライズにあふれたアイテムばかりが集まっており、「私だったらこんなオーダーがしてみたい」と夢が広がる展覧会になっています。
入り口そばのスペースに展示してあったのは、愛猫と旅するためのバッグの製作風景や、和楽器の鼓(つづみ)用のケース、レコードバッグなど。会場内を奥に進んでいくと、さらに驚きにあふれたオーダー品が並びます。私が個人的に「こんなオーダーがあるのか!」と最もびっくりしたのは、マス釣り用の釣り竿とフライ(疑似餌)、そして釣り上げたマスを入れるためのバスケットのセット。こちら、愛知・名古屋店からのスペシャルオーダーということでしたが、よく晴れた初夏の日に、緑に囲まれた清流でこのセットを使って魚釣りをするというすてきな情景が脳裏に浮かびます。いいなぁ。
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この展覧会は見ていて楽しいというだけでなく、メゾンのアイデンティティーである精緻な職人技を感じる場でもあります。マス釣りセットのバスケットは柳の枝を非常に細かく編んだもので、全てを編み上げるのに20時間がかかったそう。フライに使われた鳥の羽根も色合わせや組み合わせがとても繊細です。聞けば、こうしたスペシャルオーダー品の多くは、“その道のプロ”のメーカーなり職人なりと協業して作り上げるものだそう。例えば、釣り竿は釣り具のプロと組んで作ることで、美しさだけでなく、機能面もしっかり担保しています。
他にも驚きのオーダーが続きます。部分的に使ったレザーが非常におしゃれなカヌーは、木製の骨組みが半透明のボディーから透けて見え、素人目にもこだわりを感じるもの。「エルメス」の代名詞、“カレ”(スカーフ)の模様を描いたサーフボードに、アイスホッケーのスティック、ボクシンググローブ、スケートボードにローラースケート、そしてジュークボックス。
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ここまでくるとちょっとやそっとではなかなか驚かなくなってきますが、もう一度たまげたのが人力車です。京都や浅草の街で今も見かけるあの人力車を柳細工とレザーで表現しており、とてもエレガント。「エルメス」の京都店に来店する際に人力車に乗ったマダムがそれを気に入り、オーダーしたそうです。乗り物は特別オーダーにおける“鉄板”のようで、他にも豪華クルーザー、自転車(多数)がありました。「エルメス」が部分的(内装など)に特別オーダーを受けたものでは、クラシックカーやオートバイも。
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展示してある商品はどれもこれも、誰かの「こんなことがしてみたい」といった夢のストーリーを感じるもの。人力車に代表されるように、自分では思いもしなかったような夢が多くて刺激的ですし、イマジネーションが広がります。同時に、驚きいっぱいの夢を具現化できるのは職人の技術あってこそ。そんなことを感じる展覧会です。
■「夢のかたち Hermes Bespoke Objects」
開催期間:11月1日~17日
場所:六本木ヒルズノースタワー1、2階
住所:東京都港区六本木6-2-31
入場料:無料